ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460254hit]

■クリスマス・キャロル、理想の彼氏、THIS IS IT、釣りバカ日誌20、キャピタリズム、いぬばか、ジュリー&ジュリア、2012
物語の発端は2009年。インドの鉱山の地下3000メートルに設
けられたニュートリノの検出施設で、検出用の純水が沸騰を
起こす。それは、今までは物質と反応しなかったニュートリ
ノが、太陽の異状活動で活性化し、地殻を電子レンジのよう
に加熱し始めた証拠だった。
この事態を把握したアメリカ政府に務める研究者の主人公は
直ちにワシントンに戻り、その報告を直接大統領に告げる。
それは地殻が加熱によって流動化し、地球に重大な災害をも
たらすとした予測が現実化したということなのだ。
これに対してアメリカ大統領は、G8サミットの席で通訳も
排除した首脳だけの秘密会議を開き、各国に人類の存亡を賭
けた作戦の遂行を提案する。しかしその事実は、その他の民
間には全く知らされなかった。
こうして発動された秘密計画は、それでも徐々に漏れ始める
のだが…その一方で、挫折したSF作家で妻と2人の子供に
も決められた日にしか会えないもう1人の主人公は、子供と
の面会日に2人を連れて山にキャンプに出掛けるのだが、そ
こで異常な事態を目撃する。
そしてその事態から重大な危機の到来を察知した主人公は、
今では一緒に暮らすことも出来ない家族を救うために、人生
最大の決断をして行くことになる。
『日本沈没』どころか、正しく「地球沈没」といった感じの
物語であり、そこには小松左京の物語と同様に「事実を民衆
に知らせるべきか否か」という葛藤も描かれている。そして
2時間38分の上映時間を掛けて国際政治から個人までのあら
ゆるレヴェルの物語が展開される。
それはまた、過去に作られたありとあらゆるデザスター映画
の集大成のような映像のオンパレードであり、地震、噴火、
津波などの災害が、過去のどの作品もはるかに超える巨大な
スケールで描き出されている。
ただまあ、雲仙の悲劇を知る者には火砕流はそんなに甘いも
のではないと言いたくなるシーンはあるし、これだけの災害
の後ではそうた易く青空は見えないだろうとか、特にマヤ暦
が期限を切っているのに何で手をこまねいていたのかなど、
言いたいことはいろいろあるが…
とやかく言うのは止めにして、とにかく娯楽映画として、映
画館の大スクリーンで観るための入場料が惜しくないと断言
できる作品だ。
主演はジョン・キューザックとキウェテル・イジョフォー。
他に、アマンダ・ピート、ダニー・グローヴァー、オリヴァ
ー・プラット、タンディ・ニュートン、ウッディ・ハレルソ
ンら。どちらかというと渋目の作品歴の並ぶ俳優たちが人類
史上最大の災害に立ち向かって行く。

11月01日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る