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On the Production
by 井口健二
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■第22回東京国際映画祭・コンペティション以外(1)
とは何かが試される武侠物語が展開される。
物語の中で武将が赴くのは長平の戦いとなっているから紀元
前265年のことのようだ。その長平の戦いでは趙兵40万人が
殺害されたとのこと。日本はまだ弥生時代の頃に、中国では
このような戦いの物語が繰り広げられていたことになる。平
和ボケの日本とはよく言われることだが、戦いの歴史そのも
のが全く違うということだ。
主演は、『墨攻』『新宿インシデント』などのファン・ビン
ビン。上映時間107分は、多少物足りない感じではあるが、
それほど大掛かりな事件が起きる訳もないので、手頃な作品
ではあった。

『チャンスをつかめ!』(アジアの風部門)
ヒンディ映画界を背景にした若者たちの青春ドラマ。
最初に登場するのはデリーから来たという女性。とある映画
プロデューサーに認められ、「スターにしてやる」と言われ
るが、中々思うようには行っていない。そんな彼女の住むア
パートに3人の若者が暮らしていた。彼らもそれぞれ映画界
を目指していたが…
そんな彼女を含めた若者たちの群像劇が展開される。やがて
彼女と1人の若者の間には恋心が芽生え始め、一方、いろい
ろな経緯からスターへの夢を断念した彼女は、若者の写真を
主演男優が降板した企画のキャスティング担当者に託す。
元々バックステージものは嫌いではないし、インド映画とい
うことでは歌や踊りのマサラムーヴィの製作風景が描かれる
から、それは楽しいものになっている。ただお話し自体は、
この種の作品では在来りかなとも思えるが、それがまあ異文
化の中に活かされているという感じのものだ。
「ヒンディ映画のスターは歌や踊りも出来なくてはならない
から、ハリウッドスターより大変」という台詞や、「ボリウ
ッドという言葉は嫌い。ヒンディ映画界と呼んで欲しい」と
いう発言がある一方で、「ハリウッド映画のDVDを基に脚
本を書いた」などといった台詞が飛び出すなど、ヒンディ映
画界の実情はそれなりに反映されているようだ。
それに「映画界では何でもできる。ここにはカーストが無い
から」という発言には、そういう社会に住んでいない自分に
は、はっとさせられるところもあった。
なお映画の中で数人の男優が交互に語るシーンがあったが、
もしかするとヒンディ映画スターのカメオ出演なのかな。僕
には判らないが、ヒンディ映画が好きな人にはそれなりのプ
レゼントかと思わせるシーンもあった。

10月20日(火)
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