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On the Production
by 井口健二
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■カフーを待ちわびて、はじめての家出、天使の目・野獣の街、クジラ、エレジー、年々歳々、いのちの戦場、重力ピエロ
来年5月23日に全国公開の予定で、完成披露試写もまだ先の
作品だが、内覧試写を見せてもらい、情報公開の制限もない
ようなので報告させてもらうことにする。
原作は上記の書き出しが評判のようで、それを書くことが映
画のネタバレにはならないと思うが、特にそれを知った上で
観ているとニヤリとする映画のプロローグとなっている。こ
れは、映画から原作に対する最大の敬意を表したとも感じら
れるものだ。
実は事前の情報では、初号試写を観た原作者が「満足した」
と語っていたそうで、伊坂原作の映画化では、僕は満足でき
なかった作品もあるが、今回は読者も納得できる映画化にな
っているというところだろう。
と言っても僕は原作は読んでいないが、映画はしみじみとし
た親子や夫婦、そして兄弟の情感が見事に描かれたもので、
それが見事に演出され、演じられているものだ。
映画の物語は、宮城県仙台市を舞台に、市内で連続する放火
事件を追って行くもの。その現場近くに常にグラフィッティ
が描かれていることに気付いた大学院生とフリーターの兄弟
が、そこに残されたメッセージの謎を解き明かして行く。
それは兄の専門分野であるDNAの配列を示しているように
も見える。そして兄弟は、徐々に1人の犯罪者を追いつめて
行くことになるが…
出演は、兄弟の兄を加瀬亮、弟を岡田将生、その父親を小日
向文世、母親役に鈴木京香。他に、吉高由里子、岡田義徳、
渡部篤郎らが共演している。
映画の企画と脚本は、元タレントで『大停電の夜に』の脚本
を担当した相沢友子。監督は、2000年のサンダンス−NHK
作家賞の日本部門を受賞している森淳一。
製作は、『K−20』なども手掛けるROBOTと、アスミック
エース。アスミック側のプロデューサーは、『大停電…』や
『博士の愛した数式』の荒木美也子が担当している。この人
の作品は、それぞれにどこかちょっとファンタスティックな
雰囲気を持っているものだ。
なお映画の公開は、原作者が在住し映画の撮影にも協力した
宮城地区では、1か月先行の4月25日から行われるそうだ。

12月14日(日)
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