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On the Production
by 井口健二
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■第104回
 製作費には800万ユーロ(970万ドル)が計上され、今年の
前半にスペイン国内の撮影所と、バルセロナ、リオデジャネ
イロ、それにバンコクでのロケーションが予定されている。
 また、プロデューサーのモンフォートは、この他に、ゲイ
リー・オールドマンの主演による“The Blackwoods”という
郊外型スリラーと、『ゴスフォード・パーク』などのデレク
・ジャコビ主演による“Arritmia”というアクション映画も
手掛けており、これらの作品はすでにポストプロダクション
の段階にあるそうだ。いずれも国際的な配役で、ちょっと気
になるところだが、取り敢えずは奇妙な味のSF映画を見て
みたいものだ。
        *         *
 もう1本はフランスからで、実はこの作品はすでに完成し
てサンダンス映画祭に出品されたものだが、『エターナル・
サンシャイン』などのフランス人監督ミシェル・ゴンドリー
が初めて母国で撮ったSF作品に対して、ワーナー傘下のイ
ンディペンデント・ピクチャーズ(WIP)がアメリカ配給
権を獲得したことが発表された。
 この作品は、英語題名が“The Science of Sleep”という
もので、物語は、ガエル・ガルシア・ベルナル扮する主人公
が自分の育った家を訪ね、そこでの幼い頃の思い出が徐々に
実生活を浸食し始める…というもの。『エターナル…』でも
記憶と現実の交錯がテーマに描かれていたが、紹介記事によ
ると、今回はさらに実験的なSF作品だということだ。
 そしてこの作品は、映画祭では1月24日にプレミア上映さ
れたものだが、その上映からわずか20分でWIPが配給権の
獲得に成功した。ところがこの作品には、ユニヴァーサル傘
下のフォーカス・ピクチャーズやパラマウントも目をつけて
おり、特にフォーカスは、前作『エターナル…』や同監督の
ドキュメンタリー作品のアメリカ配給も行った他、ガルシア
・ベルナルのプロダクションとも優先契約を結んでいた。し
かし、それで安心していた訳ではないのだろうが、その目の
前から見事にさらわれてしまったということだ。
 ただし、WIPが配給権を獲得したのはアメリカ/カナダ
とイギリスだけで、その他の地域はこれからフランスの製作
会社ゴーモンが交渉を進めることになっている。
 因に、今年のサンダンス映画祭では、ロビン・ウィリアム
ス主演の“The Night Listener”や、エドワード・ノートン
主演の“The Illusionist”なども出品され、それぞれ配給
権の買い付けが行われたようだ。
        *         *
 最後に、前回報告した『ナルニア国物語』第2章“Prince
Caspian”の計画が早くも動き出している。
 情報によると、『ライオンと魔女』のアンドリュー・アダ
ムスン監督が第2章の監督にも決まったもので、主演の4兄
弟もそのまま出演して秋からの撮影となるようだ。監督の発
言では、「今撮らないと子供たちが成長してしまう」という
ことだが、そうすると“The Voyage of the Dawn Treader”
と“The Silver Chair”も一気に製作することになる訳で、
前回期待した線での製作が行われることになりそうだ。
 ただし、以前にイギリスBBCでテレビシリーズ化が行わ
れたときにも“The Silver Chair”までは作られたが、そこ
で終ったもので、今回はぜひとも“The Last Battle”まで
映画化を進めてもらいたいものだ。第1章の勢いがこのまま
続けば、問題ないところだとは思うが。

02月01日(水)
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