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On the Production
by 井口健二
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■第52回
されたチュルブスコスタジオの設備も近代化され、また最近
は、“Harry Potter and the Goblet of Fire”を監督中の
アルフォンソ・キュアロンなどの人材も輩出、また映画学校
も充実しているということで、スコットも、この地での映画
製作に期待を寄せているようだ。
* *
もう1本はドイツ映画の話題で、リヒャルト・ワグナーの
歌劇『ニーベルンゲンの指輪』(英題名The Ring Cycle)か
らインスパイアされた作品が製作されている。
この物語は、元々は13世紀にまとめられたドイツ語の叙事
詩『ニーベルンゲンの詩』に基づくもので、ジーグフリード
のドラゴン退治やライン川に眠る財宝などが歌われている。
そしてラインの黄金で作られ、全てのものを統治するといわ
れる指輪の物語は、そのまま“The Lord of the Rings”の
基ともなったものだ。
そしてこの物語を、今回はミュンヘンに本拠を置くタンデ
ム・コミュニケーションズが映画化しているもので、ダイア
ン・デュアン、ピーター・モーウッドの脚本から、ユーリ・
エデルが監督。11月17日から南アフリカのケープタウンで撮
影が開始されている。
またこの映画化には、ジーグフリード役で、ブレイアン・
ヘルゲランド監督、ヒース・レジャー主演の“The Order”
などに出演しているベンノ・ファーマンが主演の他、クリー
ムヒルト役に『トゥー・ウィークス・ノーティス』のアリシ
ア・ウィット、そしてブリュンヒルト役で『T3』のクリス
ターナ・ロケンが出演。他にジュリアン・サンズやマックス
・フォン・シドーの出演も報告されている。
ジーグフリートやクリームヒルトの物語は、無声映画時代
からドイツでは繰り返し映画化されてきたものだが、今回映
画化しているタンデムは、テレビミニシリーズ版の“Dune”
や、ディスカヴァリー・チャンネルで放送されたCGIによ
る長編ドキュメンタリー“Dragons' World”を共同製作する
など、技術力も持ち合わせている会社で、ファンタシーアド
ヴェンチャーの色彩を濃くするという今回の映画化の完成が
期待されるところだ。
* *
最後に、去年も紹介したアカデミー賞長編アニメーション
作品賞部門の予備候補について紹介しておこう。
まず、今年の予備候補作は11本。従って予備候補作が16本
未満なので、最終候補は3本ということになる。
そしてその予備候補作11本の内容は、まずディズニーから
“Brother Bear”“Finding Nemo”“The Jungle Book 2”
“Pokemon Heroes”“Piglet's Big Movie”の5本。その他
では、ドリームワークスから“Millenium Actress”(千年
女優)、ワーナーから“Looney Tunes: Back in Action”、
パラマウントから“Rugrats Go Wild!”、ソニークラシック
スから“The Triplets of Belleville”、ソニーピクチャー
ズから“Tokyo Godfathers”、そしてドイツの作品で“Till
Eulenspiegel”となっている。
まあ、何と言ってもディズニーからの5本というのが目を
引くが、その内1本も含めて各社から日本作品が3本挙げら
れているのも嬉しいところだ。
最終候補は、“Finding Nemo”は受賞もほぼ決まりだろう
が、それに加えてさてどの2作品が選ばれるのだろうか。
なお、全ての部門の候補の発表は2004年1月27日、受賞式
は2月29日の日程になっている。
12月01日(月)
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