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On the Production
by 井口健二
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■モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン、理想郷、シェアの法則、サタデー・フィクション、二人静か、きのう生まれたわけじゃない
は、交付決定取消となりますので、補助金の返還が必要とな
ります。」そうだ。

『きのう生まれたわけじゃない』
2020年2月2日付題名紹介『パラダイス・ロスト』などの福
間健二原案、脚本、監督、主演で、今年4月26日に他界した
福間監督の最後となった作品。
1人目の主人公は中学2年生の女子。母子家庭で父親は彼女
が幼い頃に家を出たらしい。そんな彼女は学校へは行かず。
立ち寄った河原で「夫を亡くしたばかりの人」と出会い心を
通わせる。
もう1人の主人公は元船乗りの老人。若い頃に妻を失って以
来1人暮らしだったが、最近老人たちが集まる「憩いのベン
チ」に参加した。そこに中2の女子が現れ、老人たちの言葉
に反発した彼女は…。
そして中2の女子と元船乗りの老人は「憩いのベンチ」を離
れて一緒に過ごすようになる。そこに家出を繰り返す高校生
の男子や元船乗りの唯一の親戚という若者も加わって、疑似
家族のような生活が始まる。
共演は演出家の父親の舞台には出ているが、映画出演は初め
てというくるみ。他に、2011年9月紹介『UNDERWATER LOVE
−女の河童−』などの正木佐和、2008年12月紹介『ラーメン
ガール』などの安倍智凛。
さらに映画監督でもある守屋文雄、蕪木虎太郎、住本尚子、
谷川俊之、今泉浩一、福間監督のミューズとも言える小原早
織らが脇を固めている。
詩人として多くの書籍があり、映画評論家としても多数の著
作を遺した福間監督は本作の企画書で「いままでの殻を破る
ような映画表現」としているものだが、最近何作かで指摘し
たような、スケッチ集のような作品になっている。
ただし、全体としてそれなりのストーリー展開があるのはさ
すがと思わせるが、やはりそれぞれのドラマをもっと追及し
て欲しかったかな。それぞれのエピソードにはもっと何かが
ある。そんな感じになったものだ。
それとテレパシーやゴーストらしき存在など、気になる素材
がいろいろ提示されるのも、一応その方面をテリトリーとす
る者としては、ちょっと言い足りない部分が多いのではない
かとも思ってしまった。
まあ監督が亡くなってしまっているので、これ以上は何も訊
くことはできないものだが。
公開は11月11日より、東京地区はポレポレ東中野他にて全国
順次ロードショウとなる。

09月17日(日)
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