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On the Production
by 井口健二
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■なんのちゃん(レ・ミゼ、在りし日の、ちむぐりさ、山の焚、衝動、子どもたちを、キスカム、馬三家、パラダイス・L、高津川、グリーン・L)
の制度は名前は変わっても存続し、新たな迫害が始まる。そ
んな恐怖も描かれる。公開は3月21日より、東京は新宿K's
cinema他で全国順次ロードショウ。)

『パラダイス・ロスト』
(2016年、ボブ・ディランのノーベル賞受賞式に代役で登壇
した女性歌手のパティ・スミス。彼女が1995年に夫と弟を亡
くした失意の中でディランに請われ出演したコンサートの名
前に準え、夫を亡くした女性の再生を描いた作品。脚本と監
督は2016年9月18日題名紹介『秋の理由』などの福間健二。
出演は2018年5月13日題名紹介『菊とギロチン』などの和田
光沙と、都立総合芸術高校で映像を専攻しドキュメンタリー
映画などを製作して多摩美に入学、映画初出演の我妻天湖。
他に2018年7月29日題名紹介『止められるか、俺たちを』な
どの江藤修平、2008年12月紹介『へばの』などの監督で『秋
の理由』にも出演の中村文洋、2011年以降の福間監督作品す
べてに出ている小原早織らが脇を固めている。内容は詩人で
もある福間監督の内面に根差すものだが、表面的にはファン
タシーで判り易い物語が展開される。公開は3月20日より、
東京はアップリンク吉祥寺他で全国順次ロードショウ。)

『高津川』
(島根県出身の錦織良成監督が2002年『白い船』以来、県内
各地で撮り続けている地元愛に溢れる作品。今回の舞台は県
西部を流れる一級河川上流の過疎化の進む村。流域にダムの
ない清流日本一とされる豊かな水に恵まれる村には、2019年
8月25日題名紹介『シネマ歌舞伎・幽玄』にも登場の石見神
楽が伝えられている。そんな村で主人公は農業を続けながら
神楽を守ってきた。しかし若者の流出が止まらない中で川の
上流にリゾート開発の話が公になる。そして主人公の一人息
子が神楽の練習をさぼり始める。その一方で村の小学校が廃
校となり最後の運動会を行うことになるが…。出演は2019年
9月8日題名紹介『初恋ロスタイム』などの甲本雅裕。他に
戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英、奈良岡朋子らが
脇を固めている。2019年12月29日題名紹介『もみの家』でも
書いたが地元人が描く風景の魅力は格別だ。公開は4月3日
より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『グリーン・ライ エコの嘘』“The Green Lie”
(「環境に優しい」が謳い文句の日用品。その中で代表格と
されるパーム油を巡って「サステナビリティ(持続可能性)」
の一単語に隠された真実を探るドキュメンタリー。2015年に
インドネシアで起きた同国史上最悪とされる熱帯雨林火災。
それはパーム油生産のための焼き畑が原因とされ、「持続可
能性」への疑問が高まる。本作はその疑問をパーム油生産企
業にぶつけるところから始まる。その戦闘的なやり方にはマ
イクル・モーアの手法が感じられて最初は辟易したが、徐々
にやり方は変化し、さらに2010年メキシコ湾原油流出事件や
ドイツの露天掘り炭鉱の取材では被害に目を向けることで、
今我々がなすべきことの本質に迫って行く。そこにノーム・
チョムスキーMIT名誉教授との至言に満ちたインタヴュー
なども挿入される。脚本と監督と出演はオーストリア出身の
ヴェルナー・ブーテ。公開は3月28日より、東京は渋谷のシ
アター・イメージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。

02月02日(日)
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