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On the Production
by 井口健二
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■AI崩壊(再考)、プロジェクト・G、ムルゲ(影裏、恐竜が教えてくれたこと、フェアウェル、星屑の町、ステップ、黒い司法、プラド美術館)
そこにさらに昭和歌謡がふんだんに聴けるのも好きな人には
たまらないだろう。公開は2月21日より東北地区で先行上映
の後、3月6日から全国ロードショウ。)
『ステップ』
(2017年6月18日題名紹介『幼な子われらに生まれ』などの
重松清原作を、2018年10月7日題名紹介『ハード・コア』な
どの山田孝之主演で映画化した作品。最愛の妻が2歳の娘を
遺して他界。そこから男手一つで幼子を育てた男の10年間が
描かれる。それは重松原作だから心憎いまでに琴線に触れて
くるし、それを山田が20代後半から30代後半までの微妙な変
化を示しながら巧みに演じて行く。いやはやこれは正に名人
芸と言いたくなる見事な作品だ。共演は3年代の娘を演じる
田中里念、白鳥玉季、中野翠咲。他に伊藤沙莉、川栄李奈、
広末涼子。さらに余貴美子、國村隼らが脇を固めている。監
督は2018年4月15日題名紹介『虹色デイズ』などの飯塚健。
2019年12月29日題名紹介した『ジョン・F・ドノヴァン』で
わだかまっていたものがこの作品を観て氷解した。洋の東西
はあるのだろうが、本作にある死生観がドランの作品には足
りなく感じた。本作は4月3日よりロードショウ公開。)
『黒い司法 0%からの奇跡』“Just Mercy”
(1980年代のアメリカ南部アラバマ州を舞台に、冤罪で死刑
囚となった男性の弁護に挑む若き黒人弁護士の実話に基づく
作品。主人公は修習生の時に1人の死刑囚と出会いその厳し
い現実に直面する。そして2年後、冤罪を晴らすための団体
と協力して死刑囚の弁護を開始するが…。映画では1962年の
『アラバマ物語』が何度も援用されるが、1930年代が背景だ
った物語から50年を経ても全く変わっていなかった現実や、
恐らく白人至上の現政権下で再び論じるべき意義が本作には
あるのだろう。それにしても2019年12月29日題名紹介『リチ
ャード・ジュエル』に続けて本作を公開するワーナー映画の
問題意識にも何かを感じてしまうところだ。出演はマイケル
・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラー
ソン。脚本と監督は2017年8月13日題名紹介『アメイジング
・ジャーニー神の小屋より』などのデスティン・ダニエル・
クレットン。公開は2月28日より、全国ロードショウ。)
『プラド美術館 驚異のコレクション』
“Pintores y reyes del Prado”
(2019年に開館 200周年を迎えたプラド美術館の歴史を紐解
くドキュメンタリー。スペイン王家が代々に亙って収集した
美術品を展示する美術館には実は40年ほど前にツアー観光で
訪れたことがある。しかし当時世界最大の所蔵数を誇るとさ
れた美術館は薄暗くて、個人で歩くのは危険を伴うとも言わ
れたものだ。それがまあ近年は新館の完成などで明るく鑑賞
できる場になっていたもので、本作を観ながらまた訪れてみ
たいという気持ちも高まった。とは言え本作ではジェレミー
・アイアンズの案内でエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤなど
の名品絵画が鑑賞されるが、実は紹介される作品の年代など
が錯綜して美術史に明るくない自分には多少混乱が生じてし
まった。でもまあ見事な絵画が鑑賞できるということでは、
これで良いのかな。お陰で再訪したくなる気持ちもさらに高
まったものだ。映画の公開は4月10日より、東京はヒューマ
ントラストシネマ有楽町他で全国ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
01月19日(日)
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