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On the Production
by 井口健二
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■ふたりのJTL、スピリットOTA、イントゥTS(ジュディ、新卒ポモ、グッドバイ、ロングDJ、嘘八百2、初恋、架空OL日記、テリーGのDQ、屋根裏)
(2015年の長編デビュー作『凱里ブルース』が高く評価され
た中国第8世代と呼ばれる新鋭ビー・ガン監督の第2作。し
かも映画の後半60分が3Dでワンシークエンスショットとい
うトリッキーな作品。長く故郷を離れていた主人公が父親の
葬儀のために帰郷する。しかしそこにはマフィアに殺された
幼馴染の記憶や、本名も知らず憧れた女性の面影が残ってい
た。そんな中で記憶と夢、過去と現在が交錯する一夜の旅が
始まる。ワンショットのシーンでは空中浮遊などもあって、
一発勝負の撮影には周到な準備も必要だったと想像させる。
ただ出演者にはかなりの距離の短時間での移動もあったよう
で、その辺には微笑ましいものもあった。因に監督はタルコ
フスキーの『ストーカー』を観て「こんな映画もあるのだ」
と思い映画の道に進んだとのことで、それは納得できる作品
だった。公開は2020年2月28日より、東京はヒューマントラ
ストシネマ渋谷他で全国ロードショウ。)

『嘘八百 京町ロワイヤル』
(2017年10月8日題名紹介『嘘八百』の続編。前作では茶の
湯の聖地とされる大阪・堺を舞台に、古物商と陶芸家が2人
を陥れた大御所鑑定士を相手に「幻の利休の茶器」を贋作し
て勝負を挑んだが、今回は京都の町を舞台に利休の茶の湯を
継承した武将茶人・古田織部の幻の茶器を巡り、政権も加担
する巨大な闇に挑戦する。出演は中井貴一、佐々木蔵之介、
友近、森川葵、木下ほうか、坂田利夫、前野朋哉ら前作から
のキャストに加えて、広末涼子、加藤雅也、竜雷太、山田裕
貴が新たに登場する。監督は前作と同じ武正晴、脚本も今井
雅子、足立紳が担当した。物語は力を持たない弱者が巨悪に
対抗するものでそれなりのカタルシスはあるが、結末は今回
もかなり大掛かりな作戦で、折角の中井、佐々木の共演なら
もう少し小洒落た展開もできるのではないかな。そんな気分
にはなった。公開は2020年1月31日より、東京はTOHOシネマ
ズ日比谷他で全国ロードショウ。)

『初恋』
(2017年2月紹介『無限の住人』などの三池崇史監督が窪田
正孝を主演に迎えた自身初の恋愛映画と称する作品。天涯孤
独で天才的センスを持つ新進ボクサーが初めてのKOを食ら
い、医師から脳障害と余命を宣告される。そんな気分で街を
ふらつく主人公は男に追われていた少女を助けるが…。三池
監督は2019年9月紹介『その瞬間、僕は泣きたくなった』で
も素敵な恋愛ドラマを描いていたが、本作は初の長編という
ことだろう。とは言え全体は逃亡者型の恋愛映画でありなが
ら、後半にはしっかりとした三池監督らしさもあり、1本で
2度楽しめる作品になっている。しかもどちらも見事な演出
を楽しめる作品だ。共演は大森南朋と2019年11月17日題名紹
介『ファンシー』でも共演の小西桜子。他に染谷将太、ベッ
キー、三浦貴大、内野聖陽、村上淳、滝藤賢一、ベンガル、
塩見三省らが脇を固めている。公開は2020年2月28日より、
全国ロードショウ。)

『架空OL日記』
(バカリズムの原作脚本主演で2017年に放送され、同年度の
向田邦子(脚本)賞を受賞したテレビシリーズの映画版。西武
線練馬駅前にある銀行を舞台に、更衣室でのOLたちの他愛
ない会話やその周囲で起きる様々な出来事が綴られて行く。
そこには女性の立場に基く辛辣な意見もコメディにして巧み
に描かれている。元々は作者の妄想ブログだそうで、つまり
は男目線の想像のお話。しかしそれが意外とOLの共感を呼
んだのだそうだ。正直に言って僕も男性だから男同士の妄想
というところでは理解したが、女性にも支持されたというの
は凄いし、男女を問わず判るお話のようだ。共演は夏帆、臼
田あさ美、佐藤玲、山田真歩、三浦透子らのテレビのレギュ
ラー陣に加えて、シム・ウンギョン、坂井真紀、志田未来、
石橋菜津美らが登場する。監督はテレビ版も手掛けた住田崇
の映画デビュー作。公開は2020年2月28日より、東京はTOHO
シネマズ日比谷他で全国ロードショウ。)

『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』

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12月08日(日)
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