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On the Production
by 井口健二
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■ラスト・C、37セカ(母との、ロニートとE、ぼくらの、男と女、イーディ、ビッグ・LF、PMC、さよならTV、転がるB、ソン・L、ミッドS、前田)
薬散布などのアメリカ農業の歪んだ実態を観てきた目には、
正に目から鱗の作品だった。公開は2020年3月、東京は新宿
ピカデリー他で全国順次ロードショウ。)
『PMCザ・バンカー』“PMC: 더 벙커”
(時代背景は2024年。アメリカ大統領が北朝鮮の非核化を目
論むも交渉に失敗。そのため支持率が低下する中で大統領選
挙が行われているという状況を背景にしたアクション作品。
主人公は民間軍事会社(private military company)の作戦隊
長。実はCIAの裏仕事に携わっているが、それは米国にい
る家族を守るためでもある。そんな主人公に軍事境界線の地
下要塞(バンカー)で北朝鮮の要人を確保する作戦が命じられ
る。それは比較的容易な作戦のはずだったが…。作戦の最中
に北朝鮮がミサイルを発射し、関係各国の思惑が交錯し始め
る。脚本と監督は2013年『テロ,ライブ』などのキム・ビョ
ンウ。出演は監督の前作にも主演した2019年4月紹介『神と
共に』などのハ・ジョンウ。かなり荒唐無稽な作品だが、近
未来物ということで、自走する遠隔カメラなどのギミックは
面白かった。公開は2020年2月28日より、東京はシネマート
新宿他で全国順次ロードショウ。)
『さよならテレビ』
(2019年1月13日題名紹介『眠る村』に続く東海テレビ制作
ドキュメンタリー。2011年5月紹介『青空どろぼう』以降、
様々なテーマを取り上げてきた作品群だが、今回はその視線
を自らに向け、実は前代未聞の放送事故とされるある番組に
関った人たちが描かれる。その顛末は本編を見ていただきた
いが、それが何年もたった今も尾を引き摺っている現実には
震撼とさせられる思いもした。その一方でマスコミの基幹で
あるはずの報道が契約社員などの云わば外部に頼らざるを得
ない状況や、「働き方改革」で時間外の取材も思うように行
かなくなっている現実など、安倍政権はこれを狙ってやった
のかとも思わせる実態が描かれる。そこには多少は身内に甘
いかなと思わせる描写もあるが、その辺は人間味として許容
もできるものだ。公開は2020年1月2日より、東京はポレポ
レ東中野他で全国順次ロードショウ。なお本作公開を記念し
て過去の長編11作品及び中編4作品が、年末12月14日‐28日
に同会場で連続上映される。)
『転がるビー玉』
(ファッション誌「NYLON JAPAN」の創刊15周年記念で製作
された東京・渋谷が舞台の青春ドラマ。試写会などでかなり
頻繁に出向く渋谷は変貌の最中。そんな街で再開発で取り壊
し予定のアパートにルームシェアで暮らす3人の若い女性が
主人公。とは言うものの描かれる彼女たちの姿は、今の若い
女性では左程目新しいものでもないが。それが現代を描写し
ていることにはなるのかな。僕自身は学生時代から50年以上
も渋谷に通い続けて最近の変貌ぶりには目を見張るが、この
映画がそれを東京在住者以外にも判るように表現できていた
かどうか。今の渋谷を記録しておくという意味でも、もう少
し深層まで描いて欲しい感じもした。出演は2018年4月15日
題名紹介『虹色デイズ』などの吉川愛、上で紹介『37セカン
ズ』などの萩原みのり、舞台女優の今泉佑唯。公開は2020年
1月31日から渋谷ホワイトシネクイントにて先行上映の後、
2月7日より全国順次ロードショウ。)
『ソン・ランの響き』“Song Lang”
(1980年代のサイゴンが舞台のヴェトナム映画。主人公は高
利貸の取り立てをやっているヤクザの男性。実はカイルオン
と呼ばれる大衆演劇で伴奏音楽の演奏者の息子だったが、父
親に反発してヤクザの道に走ったのだ。そんな主人公が町で
カイルオンの役者と出会い、酒やヴィデオゲームなどで交流
を重ねる内に昔の自分を蘇らせて行く。そして見事な演奏も
披露し、相手の役者も彼にカイルオンの世界に戻ることを勧
めるが…。出演は本作で2018年東京国際映画祭の新人俳優賞
を受賞したリエン・ビン・ファットと、元アイドルグループ
でリーダーを務めていたアイザック。脚本と監督は短編映画
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12月02日(月)
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