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On the Production
by 井口健二
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■見栄を張る、ワンダーストラック、空海(花は咲くか、名前のない、悪女、神さまの轍、リメンバー・ミー、ラブレス、かぞくへ、ROKUROKU)
曽祖父がミュージシャンという設定で、陽気なマリアッチの
音楽と共に、1930年代サウンド映画初期へのオマージュも込
められている。それにしてもメキシコ人の死者の国のカラフ
ルで華やかなこと。そしてそこに家族の絆の物語が巧みに描
かれて行く。物語の原案と監督は『トイ・ストーリー3』で
オスカー受賞のリー・アンクリッチ。受賞作でも家族の絆と
主人公の成長を巧みに描いた監督が、本作でも本領を発揮し
ている。公開は3月16日より、東京はTOHOシネマズ日本橋他
で全国ロードショウ。)
『ラブレス』“Нелюбовь”
(2004年6月紹介『父、帰る』などのアンドレイ・ズビャギ
ンツェフ監督が、昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞
した作品。ロシアでは比較的良い暮らしの夫妻の1人息子が
行方不明になる。しかし夫妻は離婚協議中であり、その行方
不明にはいろいろな憶測が生じる。そして他の犯罪捜査で人
手の足りない警察に代って、ヴォランティアの人たちによる
捜索が始まるが…。子供の行方不明に対してヴォランティア
の捜索隊という展開にも驚かされるが、雪に閉ざされた郊外
の住宅地で絨毯捜査を行う組織力には、ロシアの民衆の力の
ようなものも感じさせた。そして子供を行方不明にした夫妻
にはかなりの手厳しさも描かれている。そして冬のロシアの
寒さもひしひしと感じさせる作品だった。公開は4月7日よ
り、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)
『かぞくへ』
(2016年11月5日付「東京国際映画祭」でも紹介した作品。
前の紹介でも詐欺事件が絡むことは書いたが、詐欺の話はそ
の手口の把握が難しくて今回の試写を観に行った。そこで再
見するとさすがに手口は判ったが、主人公たちにはもっと他
に取るべき手はあったのではないかという気持ちは変わらな
かった。ただし監督が描きたいのはそこが主ではなく、「か
ぞく」というものに対する施設で育った主人公らの思いなの
だが、そこも僕にはしっくりこなかった。しかし再見して途
中で2度ほどその点に言及している場面に気付き、成程そう
いう気持ちなのだということは判り掛けたかな? そんな気
持ちにはさせてくれる作品だった。脚本と監督は助監督出身
の春本雄二郎によるデビュー作。公開は2月24日より、東京
は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『ROKUROKU』
(2017年12月紹介『牙狼』などの雨宮慶太原作、総監督で、
2016年1月紹介『珍遊記』などの山口雄大監督による日本古
来の妖怪を描いた作品。登場するのは表題の「ろくろ首」を
始め「ぬり壁」や「かまいたち」など、様々な妖怪がVFX
で描かれる。そして物語の全体では、祖父の言い付けに従っ
てそれらと闘う女性の姿を描いたものだ。出演は中西美帆。
他に遠山景織子、いしだ壱成、マキタスポーツ、駿河太郎、
仁科貴、落合モトキ、佐々木心音、螢雪次朗、伊藤かずえ、
ミッキー・カーチスらがそれぞれのエピソードの主役として
登場する。ただ全体の尺が91分と短く、各エピソードの展開
が物足りないかな。でもまあ日本の妖怪のオンパレードとし
てはそれなりの面白さはあった。公開は1月27日より、東京
は新宿K's cinema他にて全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
01月21日(日)
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