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On the Production
by 井口健二
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■シャドウハンター、サード・パーソン、ディス/コネクト、飢餓海峡、A.F.O
た愛知工業大学が、その前身である私立名古屋電気学校の設
立100周年記念事業として、同大学の客員教授でもある映画
監督・堤幸彦の企画・総監督で製作した作品。
物語の中心は愛知工業大学サッカー部。ゴールキーパーでも
あるキャプテンは中学時代は名選手だったらしいが、以後は
勝利の女神に見放され、その影響かチームは彼がキャプテン
になってから1勝もしていない。
そのためチームの覇気も上がらず、選手たちは努力もしない
で他人頼みの勝利だけを夢見ている始末。そんな彼らに愛想
の尽きた女子マネージャーは部を脱退。しかもフットサル部
を結成して、お前たちを打ち負かしてやると宣言する。
とは言え、彼女のフットサル部もメムバーが集まらない状況
だったが、そこに救世主が現れる。何とその大学にはブラジ
ルからの留学生がいたのだ。そして「サッカーはできない」
とする留学生を何とか試合に引っ張り出すが…。
本当はサッカーが好きなのに、頑なにサッカーを拒んだまま
家庭の事情で帰国してしまった留学生を巡って、学校上げて
の大宇宙を仲立ちにした大作戦が開始される。
出演は、2010年9月紹介『信さん−炭坑町のセレナーデ』な
どの石田卓也、昨年公開のワーナー映画『すべては君に逢え
たから』などに出演の岡本あずさ。他に戸田恵子、渡辺哲ら
が脇を固めている。
脚本は、2006年の岸田國史戯曲賞を受賞している佃典彦、監
督は、2008年10月紹介『クローンは故郷をめざす』ではプロ
デューサーを務めていた多胡由章。因にスタッフ・キャスト
はいずれも愛知県の出身者のようだ。
題名は‘One for All, All for One’の後半の頭文字とされ
るが、2011年9月紹介の『三銃士』に由来するこの言葉は、
日本では主にラグビーの格言として認知されているもので、
それはサッカーではない。
それにお話も、万年不振のスポーツ部にそのスポーツが好き
だけど頑なに参加を拒む選手など、まあ在り来たりというか
何というか。正直に言って蒼々たる顔ぶれが揃っている割に
は他愛ないものになってしまっている。
そこに新規性があるとすれば、後半のブラジルにメッセージ
を送る展開だが、本来ならここにもっとドラマがあって感動
に繋がるものが欲しかったかな。何となく全体に詰めが甘い
感じのする作品だった。
公開は4月26日から5月2日まで、東京のシネマート六本木
で上映される。
なお愛知発のこの作品は試写会が行われず、DVDを借りて
観たものだが、ご当地映画ではもう1本、三重発の『ルート
42』という作品も併せて鑑賞した。
その作品は、実は東京での上映がすでに終了していて紹介の
チャンスを逸したものだが、内容にはファンタスティックな
要素もある作品で本来ならちゃんと紹介すべきだったかな。
でもまあいろいろあるので今回は割愛することにした。

03月23日(日)
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