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On the Production
by 井口健二
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■エヴァの告白、ラッシュ/プライドと友情、偉大なるしゅららぼん、デリーに行こう!、BUDDHA2
の中心だったチャプラらの話はなく、本来が3部作の企画に
しては第1作と第2作の関係が希薄に感じられた。
そして本編だが、物語は前作よりはブッダ本人に集約して語
られるもので、主には苦行を続ける姿とその中で悟りを開く
までが描かれる。さらにそこに未来予知者の少年の話や侵略
国コーサラの王子の話などが絡んでくる。
また、ブッダが幼い頃に出会ったタッタや女盗賊ミゲーラも
登場し、これらは前作からの繋がりとなるものだ。ところが
ここで前作との関係性が希薄なために、本来あるべき感動が
あまり感じられないのは残念に思えたところだ。
とは言え物語は、コーサラの侵略が迫る中でブッダが悟った
仏教の真髄が語られて行く。その点の物語の骨子は現代社会
の情勢にも通じるもので、手塚治虫が本来語りたかったこと
は描かれていると言えるものになっていた。
脚本は前作と同じ吉田玲子、監督は、前作の森下孝三(聖闘
士星矢)に代って『プリキュア』シリーズなどの小村敏明。
音楽は前作と同じく大島ミチルと藤原道山(尺八演奏)が担
当している。
声優は、ブッダ(シッダールタ)の吉岡秀隆、スッドーナ王
の観世清和、ミゲーラの水樹奈々がそれぞれ前作に引き続き
担当。また、ナレーションも吉永小百合が前作に引き続いて
担当している。
ただし吉永は、前作ではチャプラの母という設定だったが、
本作ではシッダールタの母マーヤー天の設定になっている。
さらに本作では、原作の愛読者という松山ケンイチを始め、
真木よう子、田口浩正、大和田伸也、お笑いコンビ笑い飯の
哲夫。他は、沢木みゆき、藤原啓治、大友龍三郎、島本須美
らの声優陣が脇を固めている。
実は、自分の娘と息子を近くの寺の幼稚園に通わせたので、
学芸会でブッダの話は何度も観ている。その中では息子は年
長の時にシッダールタを演じたし、娘は苦行を続けるブッダ
にミルクを与えるスジャータを演じたものだ。
そんな記憶を思い起こしながら観ていたが、そんな自分にも
今回の作品は違和感が少なかった。もちろんそこには手塚個
人の史観も反映されるが、その点でも本作は期待に応えてい
ると言えそうだ。
公開は2月8日から、全国ロードショウとなる。
01月12日(日)
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