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On the Production
by 井口健二
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■ニーナ、サイコメトリー、サイド・エフェクト、人類資金、ホワイトハウスD、ビザンチウム、フローズン・グラウンド、Cハーロック
1984年『狼の血族』や1994年『インタビュー・ウィズ・ヴァ
ンパイア』のニール・ジョーダン監督が、久々に挑戦したゴ
シック・ロマン作品。
登場するのは姉妹のように見える2人の女性。少し年上の女
性クララは奔放に男を漁っているが、年若の女性エレノアは
人目を避けるように生活している。そんな2人がうらびれた
浜辺のリゾート地にやってくる。
そこでクララは遊園地で出会った男が貸間をやっていると聞
き、言葉巧みにその男を丸め込む。そしてその男が所有する
廃業したホテルに居座ると、街角にいた若い女たちを集めて
娼館を始めてしまう。
一方、エレノアは老人介護施設で働く青年に声を掛けられる
が、いつもの通り素っ気無い素振りでそれに応じてしまう。
しかし彼の持つ孤独感には奇妙な親近感を覚えるのだった。
そして彼女たちには19世紀から続く長い物語があった。
そんな彼女らを2人の男が追っていた…。
出演は、2010年4月紹介『プリンス・オブ・ペルシャ:時間
の砂』などのジェマ・アタートンと、2007年12月紹介『つぐ
ない』でオスカー候補になり、2011年5月紹介『ハンナ』や
昨年7月紹介『ウェイバック〜脱出6500km〜』にも出演のシ
アーシャ・ローナン。
彼女らの周りを今年5月紹介『オン・ザ・ロード』などのサ
ム・ライリー、4月紹介『アンチヴァイラル』などのケイレ
ブ・ランドリー・ジョーンズ、それに2006年2月紹介『イー
オン・フラックス』に出演のジョニー・リー・ミラーらが固
めている。
若い女性の吸血鬼ということでは、ハリウッド製のシリーズ
の他にも、2011年5月『モールス』や2011年10月『ブラディ
・パーティ』などを紹介しているが、ヨーロッパ発信の作品
が男性吸血鬼との関係を微妙に描いているのは面白い。それ
が特に本作では丁寧に描かれており興味深かった。
因にジョーダン監督は、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパ
イア』では男性吸血鬼を描いている訳で、本作はそれと対に
なる作品とも言える。ただしその1994年作では、キルスティ
ン・ダンストが演じた少女吸血鬼も登場しており、本作はそ
の続きと言えるかもしれない。
その本作では『モールス』でクロエ・グレース・モレッツが
演じた少女吸血鬼にも繋がる切なさも見事に描かれており、
クリストファー・リーらが怪奇に演じてきた吸血鬼は、彼女
らによって新たな次元に突入しているようだ。
なお本作は、イギリスの劇作家モイラ・バフィーニが2008年
に発表した舞台劇に基づき、原作者自身が脚本も手掛けてい
る。

『フローズン・グラウンド』“The Frozen Ground”
1980年代にアラスカ州で起きた連続殺人事件の実話に基づく
作品。
主人公は州警察の刑事。しかし彼は気の乗らない仕事に石油
企業への転職を決めていた。そんな彼の許に1人の女性が保
護を求めてくる。彼女は街娼だったが、金で誘われた仕事先
で暴行を受け、銃でも狙われて逃げてきたというのだ。
そのころ町の郊外では、熊が掘った穴から女性の遺体が発見
され、しかもその遺体は銃で撃たれていたことが判明する。
ところがアンカレッジ市警察は娼婦の証言を重視せず、事件
はうやむやになろうとしている。
そこで主人公は、州警察の権限で事件の捜査を進めることに
するが、広いアラスカの荒野が相手では証拠を集めることに
も困難が付きまとっていた。それでも地道に捜査を続ける主
人公は、徐々に犯人を追い詰める。
事件は最終的に犯人が司法取引をしても、裁判で懲役461年
が言い渡されたという凶悪なもの。しかし司法取引以前には
17件の殺人を自白し、まだ余罪がある可能性もある。しかし
それは闇の中だという。
物語はこの捜査の模様に、当時17歳だった娼婦の行動や、裏
の人間を使って娼婦を亡き者にしようとする犯人の動きなど
も絡めて、アラスカの大自然を背景にサスペンスフルに展開
されて行く。
出演は、ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、それに
2011年4月紹介『エンジェル・ウォーズ』などのヴァネッサ

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07月30日(火)
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