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On the Production
by 井口健二
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■ペーパーB、ディアトロフI、アップサイドダウン、イントゥ・ダークネス、アイス、エンド・オブ・W、パニック・マーケット、I・ベルイマン
本作は上映時間130分、併映作は206分。上映はオリジナルか
らりストアされた16mmフィルムで行われる。
本作はノスタルジーで観ることもできる作品だが、描かれる
焦燥感は現代の感覚にも共通する。その点では共感も湧いて
くる作品だった。

『エンド・オブ・ウォッチ』“End of Watch”
ロサンゼルスの中でも犯罪の最多発地区と言われるサウスセ
ントラルを巡回する警官の日常を描いたPOVによる作品。
描かれるのは警察学校からの親友同士という白人とメキシコ
系の警官コンビ。白人警官は大学法学部への進学を目指し、
その入試課題に映像制作を選択して日夜デジカメで撮影を続
けている。そしてついに胸に付ける小型カメラを導入して、
お互いを撮ることを開始する。
また白人警官には付き合い始めたばかりの女性がいて、彼女
とは将来の結婚も考えている。一方、メキシコ系の警官は高
校時代の恋人と18歳で結婚し、2世の誕生も間近という状況
だ。そんな2人は、日々逃走車の追跡や容疑者との銃撃戦な
ど危険の任務の連続だった。
そして街では、ヒスパニック系のギャングが勢力を広げ、そ
の陰には麻薬組織の介在の可能性が考えられた。さらに人身
売買のための違法入国者の隠れ家の摘発や家族ぐるみの不法
銃器の売買。またFBIも絡んで、アメリカが抱える病巣の
ような犯罪に立ち向かう警官たちの姿が描かれる。
タイトルはEOWと略され、警察官が1日の終りに付ける業
務日誌の最後に時刻と共に添える文字だそうだ。またそこに
は「殉職」の隠語も含まれるとされる。
出演は、製作総指揮も兼ねる昨年8月紹介『ミッション:8
ミニッツ』などのジェイク・ギレンホールと、今年2月紹介
『L.A.ギャングストーリー』などのマイクル・ペーニャ。そ
の相手役に2011年9月紹介『50/50 フィフティー・フィフテ
ィー』などのアナ・ケンドリックと、2008年9月紹介『デス
・レース』などのナタリー・マルティネス。
POVは、特にホラーサスペンス系の作品で流行りの手法に
なっているが、本作では警官側だけでなく、犯罪者側も依頼
者に報告する記録を撮っているという設定で、多方面の映像
が登場する仕組みになっている。それはまあ多少の無理はあ
るが、全体としてはリアル感に溢れる作品になっていた。
しかも本作は、題材が警官の日常ということで、そこには実
に様々なエピソードが登場するが、それが徐々に1つの事件
に収斂して行く構成は見事だった。
脚本と監督は、2001年デンゼル・ワシントンにオスカーをも
たらした『トレーニングデイ』などの脚本を手掛けてきたデ
イヴィッド・エアー。因にエアー自身がサウスセントラルの
出身なのだそうで、彼自身の体験がこのリアルな物語を生み
出したようだ。

『パニック・マーケット3D』“Bait”
試写会場では『バイオハザードV』の…、と紹介されたが、
マニアには『ハイランダー』と言った方が通りが良いと思わ
れるラッセル・マルケイがオリジナル脚本と製作総指揮も務
め、母国のオーストラリアとシンガポール合作で作り上げた
3Dパニック作品。
主人公は元ライフガードの若者。1年前に結婚式直前だった
彼は、二日酔いで本来は自分の仕事だったブイの点検を花嫁
の兄に代わってもらう。ところがその兄が人食いザメの犠牲
になり、トラウマに悩む彼は婚約者にも去られ、今ではやる
気のないスーパーマーケットの店員だった。
そんなある日、突然の地震と津波が街を襲う。そして主人公
のいるマーケットも水浸しになる。このため主人公らは棚の
上に避難するが、その水の中には津波と共に体長3mを超え
る人喰いザメが迷い込んでいた。
さらに避難者の中には、里帰りしていた元婚約者とその恋人
らしき男性。また強盗や重傷を負った保安官らもいて、外部
からの救援が望めないと判断した彼らは、協力して脱出の道
を探し始めるが…
作品は、1年前の発端部分が多少まだるっこしいが、津波が
襲ってから後は展開も滞りなく、結構ハラハラドキドキも感

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06月30日(日)
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