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On the Production
by 井口健二
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■ガレキとラジオ、ボクたちの…、ゼロ・ダーク・サーティ、グレイヴE2/モスキートM、アウトロー、幕末奇譚、わすれないふくしま、約束
2011年8月紹介『VAMPIRE STORIES』の馬場徹、2010年2月
紹介『月と嘘と殺人』の八神蓮らが新撰組に扮する少し捻り
の加えられた幕末時代劇。
物語は、新撰組八番隊組長・藤堂平助が、幕府目付け役・辻
村の警護中を襲われるところから始まる。しかも襲ってきた
のは柳生十兵衛。江戸初期の剣豪がなぜ幕末の世に現れたの
か。そこには新撰組が結成された真の使命があった。
お話としてはかなり荒唐無稽というか、とんでもないものだ
が、まあこの内容なら歴史的な背景を知らなくても判り易い
だろうし、基本的に馬場、八神のファンが対象の作品なら充
分というところだろう。
とは言うものの、2007年12月紹介『トリコン』や2008年2月
紹介『カフェ代官山』から付き合ってきた者としては、時代
劇というのには多少戸惑いは感じてしまったところで、それ
は何か余分な手間暇を掛け過ぎのようにも思えた。
でもまあ、イヴェント試写会に集まっていた女性のファンた
ちは満足していたようだから、それはそれで良いのだろう。
それにしても1日3回の上映には、全て参加している観客も
多かったようだし、上映前には「次は名古屋」なんて声も聞
こえてきたから、2008年8月紹介『キズモモ。』の時の勢い
は衰えていないようだ。
共演は、2010年ジュノンボーイでファイナリストの神永佳祐
(映画初出演)、2011年6月紹介『あの、晴れた青空』など
の馬場良馬、同月紹介『行け!男子高校演劇部』などの広瀬
佳祐。さらに昨年2月紹介『寒冷前線コンダクター』などの
高崎翔太、2010年11月紹介『ギャングスタ』などの佐々木喜
英らが脇を固めている。
監督は、2007年ぴあフィルムフェスティバルで審査員特別賞
などを受賞している中島良。脚本は、2004年12月紹介『隣人
13号』などの俳優で現在は舞台の演出や脚本を手掛けてい
るまつだ壱岱。脚本家は初の映画脚本だそうだ。
展開としては、同じ剣豪が繰り返し出てきたりして、その辺
が多少安っぽさを感じさせる。それは実際に制作費との関係
もあるかもしれないが、本作の流れではそれはしない方が良
かったと思える。
そんなことは気にしない観客が相手の作品かもしれないが、
製作会社には大きなテレビ局の名前も入っていることだし、
その辺はきっちりとして欲しいところだ。

『わすれない ふくしま』
またまた東日本大震災関連のドキュメンタリー。ただし本作
は題名からも判るように、福島原発による被害を主題とした
ものだ。
映画では最初に大津波の様子が紹介され、そこには今までに
見たことのない惨状が撮されていて、その衝撃は大きいもの
だった。そしてそのショックも消えない内に、福島原発の爆
発の映像が続き、そこからその放射能汚染による被害が描か
れて行く。
それは放射能汚染の中で、牛乳を出荷できないにも拘らず見
捨てることができずに牛の飼育を続けている酪農家の姿や、
牛舎の中で繋がれたまま餓死した牛の遺体など、以前の作品
で紹介されたものもあったが、その中で1人の酪農家の自殺
の報道から新たな側面が浮き彫りにされる。
そこでは、経営規模を拡大した直後の被災で借金が返せなく
なったことが主な原因とされるが、その一方でフィリピン人
の妻が急遽帰国していた事実も紹介される。さらに被災直後
に数多くのフィリピン人妻や中国人妻が帰国して、一時的に
家族が成立しなくなった状況も語られる。
もちろんそれが自殺の原因とはされていないが、ある種のパ
ニック状態の中で助け合うこともできずに逝ってしまった人
の悲しみや、残された者の無念なども描かれているように感
じられた。それは電力会社がお為ごかしのように配っている
保証金の対象にはならない人たちの現実だ。
外国人の帰国問題に関しては、我が家の息子の勤務先でも、
現場の労働者がいなくなって弱ったと話していたが、それが
家族の問題にまで影響していたことは考えてもいなかった。
外国人妻の存在は農業従事者の間では多い話だとは知ってい
たのだが…。

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01月10日(木)
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