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On the Production
by 井口健二
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■昼間から呑む、ジャスティン・ビーバー、ラスト・ターゲット、卵、カルメン、赤ずきん、テザ+製作ニュース
7月紹介『インセプション』などのルーカス・ハース、そし
て重要なおばあちゃん役にはオスカー女優のジュリー・クリ
スティが扮している。
なお本作は、レオナルド・ディカプリオ主宰のプロダクショ
ン=アピアン・ウェイが製作したものだ。

『テザ・慟哭の大地』“Teza”
エチオピア出身だが、現在はアメリカ・ワシントンDCにあ
る映画大学で教鞭もとっているというハイレ・ゲリマンの脚
本・監督作品で、2008年のヴェネチア国際映画祭で脚本賞、
審査員特別賞などを受賞の他、各地の映画祭で人権賞などを
受賞している作品。
プロローグは、病院の廊下をストレッチャーで運ばれる瀕死
の重傷の男の姿。続いてエチオピアの村で、片足を引き摺り
ながら母親の元に帰ってきた男の様子が描かれる。しかし男
には記憶がない。その男の記憶を辿りながら、激動のエチオ
ピア史が再現される。
1970年代、当時エチオピアを統治していた皇帝ハイレ・セラ
シエは、国力増強のため若者の留学を奨励し、それによって
主人公もドイツで学んでいた。しかし世界的な学生運動は祖
国の政変をも後押しし、皇帝は退位して革命勢力が政権を握
ることになる。
1980年代、主人公は新国家の建設を支援する目的でエチオピ
アに帰国。しかし彼を待ち受けていたのは、ソ連の支援で社
会主義国家の成立を目指す勢力と、アルバニア的社会主義を
目指す勢力との新たな内戦の始まりだった。
そんな物語が、1990年代の母親の許に帰ってきた主人公の姿
を軸に語られて行く。しかし物語はそれだけでは終っていな
かった。
映画はフラッシュバックを多用して、時間軸も複雑に描かれ
ているが、相互の繋がりは分かり易く、観ていてあまり混乱
はしないものになっていた。その辺はさすが映画大学の先生
の作品という感じだ。
そして作品では、1970年代以降のエチオピアの現代史がかな
り把握できるものになっていた。1980年代の中ソ対立以降、
毛沢東主義を標榜した国の多くが悲惨な末路を辿ったが、エ
チオピアもその1国だったようだ。
ただし映画はそのような政治の話だけでなく、主人公が何故
脚を引き摺っているかなどの謎解きや、主人公の個人的な出
来事なども織り込まれて、2時間20分の上映時間が巧みに構
成されている。
その一方で、土着的な呪術のシーンやちょっとファンタステ
ィックな洞窟や島の様子なども描かれ、それらに今も続く圧
政の実態や、そこにあるかすかな希望などが見事に描かれて
いるものだ。
2時間20分は確かに長尺だが、そこに描かれた物語は充分に
堪能できる作品だった。
        *         *
今週は『父の初七日』という作品の試写会が中止になってい
た。理由はこの時期に題名が相応しくないというのだが…。
人間は毎日死んでいるのだし、初七日も災害地だけで起きて
いる話でもなく日常茶飯事のこと。こういうことを僕は過剰
反応と言って置きたいものだ。
この試写に関しては他にもいろいろあったので、敢えて書き
記しておく。
        *         *
 今回は少しページがあるので、いろいろ新規な情報もお伝
えしよう。
 まずは、『ジャスティン…』にも出ていたジェイデンと、
ウィル・スミスの父子が、M・ナイト・シャマラン監督が計
画している新作SF映画に出演することが発表された。
 この作品の題名は未発表だが、内容は1000年の未来が舞台
のお話。幼い息子と、普段はあまり仲の良くない父親の2人
の乗った宇宙船が、その頃には人も住まなくなっている地球
に不時着し、そこでの冒険が始まる…というもののようだ。
脚本は、シャマランと2010年4月紹介『ザ・ウォーカー』の
ゲイリー・ウィッタが執筆している。
 紹介文には人間が住まなくなった理由などは書かれていな
かったが、印象としては『ウォーリー』のイメージが湧いて
くる感じだ。そこに『ザ・ウォーカー』の脚本家なら、雰囲
気も繋がってくる感じもする。いずれにしても、荒涼とした

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04月10日(日)
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