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On the Production
by 井口健二
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■黒く濁る村、キック★アス、酔いがさめたらうちに帰ろう、ソフィアの夜明け、乱暴者の世界、とびだす絵本+製作ニュース
それにしても、その台詞が普通に棒読みだったりすると、何
の為のアフレコなのかも解らなくなってしまうもので、その
辺は俳優の質なのか、わざとやっているのか、わざとならそ
の意図が理解できなかった。
出演は、『テニスの王子様』出身の林野健志と、劇団EXILE
所属の秋山真太郎、iPhoneアプリで世界記録を持つという舞
台女優の黒澤ゆりか。つまり主演全員が舞台役者ということ
になるが、舞台の人がアフレコに馴れていないことも確認で
きたようだ。
それに題名の意味も…、作者たちは一体何を言いたかったの
だろう? 8月に紹介した作品では題名にも心に感じるもの
があったが、こちらは全く意味不明だった。
『とびだす絵本3D』
中江義男、上野紀子原作による絵本「ねずみくん」シリーズ
の3作と、松岡達英原作の絵本「ぴょーん」と「しりとり」
の計5冊を3Dで映像化した上映時間が全部で30分の作品。
最初に登場する「ねずみくんのチョッキ」は我が子が好きで
幼い頃に読んで聞かせていた思い出がある。その子もすでに
大学を出て社会人だから、それほど長く読まれてきた絵本と
いうことなのだろう。
因に今回の作品では、「ねずみくん」シリーズからは他に、
「りんごがたべたい」と「うみへいく」が3D映像化されて
いる。それぞれ同じシチュエーションをキャラクターを替え
ながら繰り返す形式の物語で、特に幼児教育には有効な作品
と言えるものだ。
それでその3D映像化だが、実はキャラクターの表現では、
胴体と腕とのつながりの部分などがあまりスムースではない
感じで、何だかぬいぐるみの取り付け糸が緩んで腕が取れ掛
かっている…そんな印象を受けてしまった。
また、「うみへいく」に出てくる浮き輪では3Dがちょっと
いびつで、本来のドーナッツ形が完全には表現できていない
感じもした。この辺が2D−3D変換ではなかなか難しい問
題になりそうだ。
とは言え本作の場合は、元々がリアルさを追求した作品では
ないから、これはこれで了解というところかも知れないが、
出来れば子供には万全なものを観せたい…そんな思いもした
ものだ。
その他「しりとり」でも、キャラクターのつながりの部分で
ちょっと前後感のおかしなところがあり、この辺ももう少し
気を付けて欲しかった。ただまあこれも僕のような捻くれ者
が観るから気が付くだけで、子供の観客には無関係なのかも
知れないが…。
これに対して跳躍を題材にした「ぴょーん」では、ちょっと
掟破りの表現が3Dの効果を高めていた。実はこの手法は、
2月に紹介した『Gフォース』でも少し使われていたものだ
が、特に本作のような作品では有効と言えそうだ。
2D−3D変換はなかなか難しくて、実は今春公開されたア
メリカ作品でも問題にされていたものだが、『Gフォース』
のように成功した例もあるのだから、もう少しなんとか技術
を高めてもらいたいものだ。
* *
今回の製作ニュースは、まずはこの話題から。
2005年4月15日付の第55回でも報告した“Star Wars”の
映画シリーズの3D化がついに実現することになり、2012年
に公開予定の“The Phantom Menace: 3D”を皮切りに、順次
エピソード番号に従って3D版を公開するとの正式発表が、
ルーカス・フィルムから行われた。
因に5年前の報告では、当時In-Threeという2D−3Dの
変換会社が、“A New Hope”の冒頭6分間のテストフィルム
をShoWestで発表し、その上映の後にルーカス本人が2007年
の公開30周年に合わせて3D版を公開したいと発言したもの
だが、当時は莫大に掛かる変換費用や、準備期間の短さなど
で実現には至らなかった。
それが今回は、『アバター』や『アリス・イン・ワンダー
ランド』の大成功を受けて、実施に踏み切ることが正式に表
明されたものだが、ただし今回の発表では以前に関っていた
In-Three社の名前はなく、ILMの監修の許で別のシステム
による2D−3D変換が行われ、すでにその作業は開始され
ているとのことだ。
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10月03日(日)
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