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On the Production
by 井口健二
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■パートナーズ、Ricky、大奥、君へのメロディー、アイルトン・セナ、アメリア、ガフールの伝説、人生万歳
給油地ハウランド島に向かう途中で消息を絶った女性飛行家
アメリア・イアハートの半生を描いた作品。
アメリアは1897年カンザス州の生まれ、子供の頃から大空に
憧れ、1921年24歳でパイロットのライセンスを取得、1926年
航空機で大西洋を渡った初めての女性となる。ただしこのと
き彼女は操縦はさせてもらえなかった。
しかしそれでも彼女の偉業は大評判となり、ニューヨークで
の歓迎パレードや大統領との面会、さらにジョージ・パット
ナムの企画で出版した書籍もベストセラー。そしてパットナ
ムの企画する講演会などを次々にこなし、たちまちセレブの
地位を獲得する。
さらにファースト・ウィミンズ・エア・ダービーへの参加や
女性パイロット団体の設立、数々のスピード記録の達成など
の偉業の末、1931年にパットナムと結婚。その翌年にはリン
ドバーグ以来5年ぶり、女性では初の大西洋横断単独飛行に
も成功する。
その後も彼女は大空への挑戦を止めず、数々のスピード記録
や高度記録、長距離飛行の記録などを達成して行く。そして
1937年、彼女は史上初の航空機による世界一周への挑戦を始
めるが…
正直に言って、結末の判っている物語を観ていることには多
少の心構えも必要かも知れない。しかし1930年代の大恐慌の
最中のアメリカで、人々の希望の星となった女性の活躍を観
ることは、今の時代にもそれなりの光明を点してくれるよう
にも思えるものだ。
出演は、アメリア役に本作の製作総指揮も兼ねるヒラリー・
スワンク、パットナム役にリチャード・ギア。他に、ユアン
・マクレガー、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・
ワシコウスカらが共演している。
監督は、2002年6月紹介『モンスーン・ウェディング』など
のミーラー・ナーイル。当時の記録映像やそのフェイク映像
なども巧みに挿入して、アメリア本人と彼女の生きた時代を
見事に再現している。
実話の映画化なのでその背景などもいろいろ調べられるが、
日本軍との関係などネガティヴな部分は排され、また最近の
発見などにも言及はされておらず、極力アメリア本人の素晴
らしさを歌い上げている。それが今の時代には必要な作品と
も言えるものだ。
『ガフールの伝説』
“Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole”
ミリオンセラーを記録しているというキャスリン・ラスキー
原作の児童向け冒険ファンタシーの映画化。高貴なフクロウ
の王国が邪悪な組織に脅かされたとき、おとぎ話の存在と思
われていたガフールの勇者たちが立ち上がる。
この物語を、『300』などのザック・スナイダー監督がア
ニメーションには初挑戦で映画化。そのアニメーション制作
は、2006年11月紹介『ハッピー・フィート』でアカデミー賞
長編アニメーション作品賞に輝いたアニマル・ロジック社が
手掛けているものだ。
主人公は、父親の語る勇者たちの物語にいつも目を輝かして
いるフクロウの少年。彼には現実的な兄と幼い妹がいた。そ
んなある日、主人公と兄は誤って地上に転落し、地上からは
飛び立つ力のない2羽がおたおたしているところを、謎の一
味に拉致される。
2羽を拉致したのは「純血団」と名告る組織で、彼らはフク
ロウの行動力を奪う邪悪な手段を使ってフクロウの王国の支
配を狙っていた。それは主人公が聞かされていたガフールの
勇者たちの王国のことだった。
その「純血団」をからくも抜け出した主人公は、その危険を
知らせるべく伝説のガフールの勇者たちのいるという未知の
フクロウの王国を目指して飛び立つが…
お話自体は正に児童向けという感じで、映画も最初の内はそ
の違和感のようなものに捕えられる。しかしそこから展開さ
れる冒険が、これが見事なアクションとアドヴェンチャーの
連続で、気が付くとその世界に違和感なく入り込めていたも
のだ。
多分それはスナイダー監督の演出力にも拠るのだろうが、こ
れは本当にしてやられたという感じの作品だった。児童向け
の原作でしかもアニメーション。それをここまでに仕上げる
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09月12日(日)
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