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On the Production
by 井口健二
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■誰かが私にキスをした、カケラ、桃まつり−うそ、17歳の肖像、バッド・ルーテナント、コララインとボタンの魔女:3D(追記)
物の父親の許で成長してきた16歳の少女には目を見張るよう
な世界だった。
こうして新しい世界に憧れ、デイヴィッドとの交際を深めて
行くジェニーは、やがてデイヴィッドの隠された面にも気付
いて行くが…
原作は、イギリスの人気ジャーナリストのリン・バーバーの
回想録。その実体験に基づく原作から『アバウト・ア・ボー
イ』などの原作者ニック・ホーンビィが脚色、2003年12月紹
介『幸せになるためのイタリア語講座』などのロネ・シェル
フィグが監督した。
主演は、本作だけですでにゴールデン・グローブ賞のノミネ
ートなど、8冠、11ノミネーションを達成しているキャリー
・マリガン。実は2005年版の『プライドと偏見』や『パブリ
ック・エネミーズ』にも出演ているイギリスの新星が一躍賞
レースに躍り出た。
他に、昨年9月紹介『エスター』などのピーター・サースガ
ード、『サロゲート』などのロザムンド・パイク。また父親
役でアルフレッド・モリーナ。さらに『シックス・センス』
などのオリヴィア・ウィリアムズ、エマ・トムプスンらが共
演している。
時代背景はイギリスでもビートルズ以前となるものだが、ま
だ女性が慎ましやかであった時代? そんな時代に生きなが
らも、真っ直ぐに将来を見据えた若い女性を主人公にした、
ある種の爽快感も感じる作品。欧米での高評価も理解できる
作品だ。
それにしても、すでにオードリー・ヘップバーンの再来とも
称されるマリガンの初々しさが堪らない作品だった。

『バッド・ルーテナント』
  “The Bad Lieutenant: Port of Call - New Orleans”
ニュー・ジャーマン・シネマを代表する監督の1人とされる
ウェルナー・ヘルツォークが、アメリカ映画を代表する俳優
の1人であるニコラス・ケイジを主演に迎えて、アメリカの
悪徳警官の姿を描いた作品。
カトリーナ・ハリケーンで荒廃したニューオルリンズを舞台
に、浸水した留置場から容疑者を救出するために$55の高級
下着を泥水に漬けることも厭わなかった警部補(ルーテナン
ト)が、持病となった腰痛を和らげるためにドラッグの常用
へと走って行く。
製作のエドワード・R・プレスマンは、1992年にもハーヴェ
イ・カイテルの主演で同名の作品を手掛けているが、本作は
リメイクではなく、類似の設定で新たな物語を描き出してい
るもののようだ。
因に、1992年作ではレイプ事件が扱われているが本作の事件
は殺人。そのためオリジナルではヌードの絡みのシーンなど
も多く、アメリカでの指定は当初は成人映画のNC-17、その
後に再編集でR指定を受けている。それに対して本作は最初
からR指定だった。
なお日本では、前作は18歳未満お断りの成人映画だったが、
今回はR−15の指定となっている。つまり子供でも観ること
はできるものだ。
そして今回の物語では、ドラッグを得るためあらゆる手段を
講じる主人公が描かれるが、その間のケイジの演技が正に迫
真、腰が本当に痛そうで、これではドラッグに手を染めても
仕方がないと思わされた。そんな主人公の転落の様子が実に
丁寧に描かれる。
共演は、『ゴーストライダー』でもケイジの相手役を務めた
エヴァ・メンデスと、『トップガン』などのヴァル・キルマ
ー。他に『もしも昨日が選べたら』などのジェニファー・ク
ーリッジらが出演している。
それにしても、奇才とも呼ばれるヘルツォークの監督作品だ
が、本作はこれといった特別な感じのするものではない。脚
本はテレビの『L.A.LOW』で脚本や製作も手掛けたウィ
リアム・フィンケルスタインが担当して、むしろオーソドッ
クスとも言える作品だ。
ただし途中に挿入されるワニとイグアナの映像は、エンドク
レジットによるとヘルツォーク自身が撮影まで担当するほど
の拘わりだったそうで…。それがまあ何を意味しているかは
いろいろ考えてしまうところだが。

『コララインとボタンの魔女−3D』(追記)
昨年12月にも一度紹介している作品だが、3D上映での試写
を観られたので改めて報告しておきたい。

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01月24日(日)
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