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On the Production
by 井口健二
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■アバンチュールはパリで、2012(特別映像)、アニエスの浜辺、わたし出すわ、イメルダ、ウォッチャーズ、虫皇帝、プール
大学生とそのガールフレンドを襲う恐怖を描いた作品。
主人公は大学のフットボールで優秀な成績を残し、そのため
故郷の高校で彼の着けていた背番号が永久欠番されることに
なる。その式典に出席のため彼はガールフレンドを伴って帰
省するのだが、そこには彼が大学進学前まで付き合っていた
元カノの姿も在った。
しかも、その元カノの経営するボーリング場に集まった昔の
仲間たちとはしゃぎまくったガールフレンドは、酔っ払って
いては彼の両親に会えないとの配慮から1人モーテルに泊ま
ることに…そのガールフレンドが行方不明になる。
ところが、この行方不明事件に警察はなかなか動き出そうと
しない。その状況が、コミュニケーション手段の発達した現
代ですら成立する巧みな手法で描かれて行く。そして孤立無
援のガールフレンドの壮絶なサヴァイヴァルが始まる。
作品はアメリカのデータベースのジャンル分けでもホラーと
なっているものだが、ここに描かれているのはオカルト的な
恐怖ではなく、もしかすると人間の誰でもが陥るかも知れな
い現実的な恐怖を描いたものだ。
それは被害者の立場だけでなく、加害者にも容易になってし
まうもので、そんな現代の恐怖が巧みに描かれていた。しか
も映画では、いろいろと繰り出される状況判断のメッセージ
がなかなか相手に届かないというもどかしさも描いて観客の
共感を呼び込んで行く。
脚本は、ケイティ・L・フェッティング。映画化作品は2作
目のようだが、細かい状況まで配慮したシナリオはなかなか
のものだ。監督は、2002年『アメリカン・サイコ2』などの
モーガン・J・フリーマンが担当した。
出演は、テレビドラマの『The O.C.』でレギュラーを務めた
ミーシャ・バートンと、同じく“90210”で今期レギュラー
のジェシカ・ストループ。そして『ゴーストライダー』で主
人公の少年時代を演じたマット・ロングが大学生を演じてい
る。
日本人の感覚で言うホラーではないかも知れないが、アメリ
カではスティーヴン・キング原作の『ミザリー』と比較され
ているようだ。
『虫皇帝』
実体験に基づく闇金融を描いた小説などを発表している作家
・新堂冬樹のプロデュースによる虫同士の闘いを集めた映像
作品。
作品のコンセプトとしては、虫を昆虫と毒蟲に分け、それぞ
れから選んだ1対1の対決で勝敗を着けるというもの。その
リングは、対決する虫のサイズに応じた大きさのアクリル箱
の中で床面には足掛かりとなるようにウレタンが敷かれてい
る。そのリングで、どちらかが戦闘不能に陥るか、戦意を喪
失するまでの闘いが行われる。
闘うのは、標準体長25cmというダイオウサソリや20cmのベト
ナムオオムカデ。最大18cmになるというヘラクレスオオカブ
トの亜種や標準体長12cmのボルネオ島のクワガタなど。その
一方で、標準体長3cmのコオイムシや8cmのエジプト産サソリ
なども登場する。
これらの昆虫と毒蟲が1匹ずつ登場して1対1の闘いをして
行くもので、登場する虫の中にはかなり珍しいものも多いら
しく、それが実際に動き闘う姿が観られるということでは、
虫好きには堪らない作品と言えそうだ。
ただし、その闘いはかなり凶暴且つ凄惨なもので、実際に首
や頭部を千切ったり、相手に執拗に毒針を突き刺すなどの光
景も随所に描かれている。これは本人が虫好きだと言ったと
しても、お子様にはちょっと勧められないものだ。
それにしても、すでに関連のDVDなども発売されていると
いう本作で、動物愛護団体などから文句はないのかな。確か
に虫は動物ではないかも知れないが、生物であることには変
わりないはず。建て前だけで手をこまねいているのならそれ
も怠慢だろう。
大体が自然界では絶対に出会うはずのない2匹が闘うのだか
ら、それ自体が自然に反しているものだし、それで優劣を付
けたとしてもそれで何かの意味が在るものでもない。正に人
間の興味本位だけで闘わされているとしか言い様がない。
とは言うものの、その闘い振りの激しさには目を剥くところ
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07月26日(日)
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