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On the Production
by 井口健二
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■風の馬、This Is England、四川のうた、シェルブールの雨傘、7つの贈り物、ハリウッド監督学入門、ロシュフォールの恋人たち
ンディングクレジットには印刷博物館の協力も記載されてい
たようで、この種のメカが好きな人にはその動きも楽しんで
もらえそうだ。

『ハリウッド監督学入門』
『リング』『仄暗い水の底から』でジャパニーズ・ホラーの
世界評価を確立し、『ザ・リング2』でハリウッド進出を果
たした中田秀夫監督が、ハリウッドでの映画製作の裏側を綴
ったドキュメンタリー。
中田監督は、過去に劇映画以外にも「日活ロマンポルノ」や
アメリカの映画監督に関するドキュメンタリーを発表してお
り、今回はその3作目となる。そして今回は、自身が関った
映画製作の顛末に迫ったものだ。
因に中田監督は、元々は“The Eye”のハリウッドリメイク
のために渡米したのだが、それが『ザ・リング2』になって
しまう。それでドリームワークスという大会社に関係するこ
ととなり、お陰で真のハリウッドの裏側に迫れてしまう。
それは、アメリカ進出と言っても他とは全く状況の異なるも
のであり、さらにそこにはウォルター・パークスやハンス・
ジマーといった現代ハリウッドを代表する人々もいて、その
証言も収集されているのは本当に貴重なドキュメンタリーと
言えるものだ。
『ザ・リング2』の舞台挨拶では、「スタジオに行くと、シ
シー・スペイセクとナオミ・ワッツが其処にいるんですよ」
と嬉しそうに語っていた監督が、実はこんなに苦労していた
ということも驚きだったが、ここにはハリウッドの特異性が
明白に描かれている。
それは映画が産業として成立しているハリウッドの特殊性で
もある訳だが、そのシステムの是々非々は別として、いつも
自分が鑑賞しているハリウッド映画がこんな風に作られてい
るのだと理解するだけでも、満足できる作品だった。
そして中田監督は、その後の日本での映画製作においても、
一部にハリウッドスタイルの良いところを取り入れていると
のことだった。
なおWebのデータベースによると、中田監督は現在ハリウッ
ドで“Chatroom”という原作ものホラー映画を準備中、他に
“The Ring Three”の計画も進んでいるようだ。過去の経験
を踏まえて、それらが早期に実現することも期待したい。
また、日本では第2作『らせん』までしか映画化できなかっ
た鈴木光司原作の第3作『ループ』も、ハリウッドでなら実
現できると思うのだが…中田監督の力でそれは何とかならな
いものなのだろうか。

『ロシュフォールの恋人たち』
           “Les Demoiselles De Rochefort”
カトリーヌ・ドヌーヴ主演、ジャック・ドゥミー脚本監督作
詞、ミシェル・ルグラン作曲による1967年製作のミュージカ
ル作品。
『シェルブールの雨傘』の3年後に同じ顔ぶれが再結集した
ものだが、同時にこの作品には、ドヌーヴの実姉フランソワ
ーズ・ドルレアックが双子の姉妹役で主演の他、ジーン・ケ
リー、ジョージ・チャキリスの2大ダンサー、さらにダニエ
ル・ダリュー、ジャック・ペラン、ミシェル・ピコリら、米
仏の豪華なメムバーが共演している。
フランス南西部の海辺の町ロシュフォールで開催されるフェ
スティヴァルに向けて国中からパフォーマーたちが集まって
くる。その会場となる広場の脇には、気さくなマダムの経営
するカフェがあり、そこもパフォーマーたちの出入りで賑わ
い始めている。
そのマダムには、美しい双子の姉妹とまだ小学生の息子がい
たが、その双子の1人は音楽家を目指し、もう1人はバレリ
ーナを目指していた。そしていつか町を出てパリで勝負する
ことと、まだ見ぬ恋人との素晴らしい恋愛も夢見ていた。
そんな姉妹の夢が、パフォーマーたちの出現で現実のものに
なりかけて行く。一方、姉妹の母親にも、心に秘めた切ない
恋の思い出が甦ってくるが…
『シェルブール』とは打って変わって陽光粲々の明るい雰囲
気の中、見事な恋のすれ違い劇が展開される。そして町中で
繰り広げられるダンスシーンなど、正にハッピーという感じ
の作品。ドヌーヴ、ドルレアック姉妹が歌う「双子の歌」な

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01月18日(日)
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