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On the Production
by 井口健二
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■キトキト!、モンスターハウス3D、NARA、Saru、ボッスン・ナップ、幸せのちから、クロッシング・ブリッジ、パラダイス・ナウ
ってはいい状況だったのかも知れない。だから、彼の成功が
今の時代に当てはまるのかどうかは判らないが、それでも今
の時代にも何か通じるような、そんな希望も抱かせてくれる
作品だった。
なお、監督はイタリア人のガブリエレ・ムッチーノ。2002年
サンダンス映画祭で観客賞を受賞した監督の初アメリカ進出
作品となっている。また、主人公の息子役にはスミスの実の
息子が扮しているが、これは縁故で決まったものではなく、
100人を超すオーディションの結果だそうだ。
『クロッシング・ザ・ブリッジ』“Crossing the Bridge”
アレキサンダー・ハッケというドイツ人の前衛ギタリストを
案内役に、イスタンブールとトルコの音楽シーンを辿るドイ
ツ・トルコ合作のドキュメンタリー作品。なお、製作国はい
ずも英語圏ではないが、原題は上記の英語のものが正式のよ
うだ。
イスタンブールの若者たちによる超早口のラップやブレイク
ダンスに始まり、ジプシーを含む民俗音楽、さらにようやく
演奏が解禁されたクルド系住民の音楽、1930年代、60年代、
70年代にトルコで活躍したポップシンガーの当時の映像から
現在の歌声まで、極めて網羅的に記録されている。
監督は、ハンブルグ生まれで、2005年のカンヌ映画祭審査委
員長も務めたトルコ系のファティ・アキン。彼の前作『愛よ
り強く』で音楽を担当したハッケが、その際に耳にしたイス
タンブールの音楽シーンに感銘を受け、この作品が生まれた
ということのようだ。
それにしても、色とりどりというか、次々に異なる音楽が提
示される。全体的にはアラブ系の音楽とジプシー系の音楽に
基づくようだが、特に哀愁を帯びたジプシー系の曲調には何
となく懐かしさと言うか心地良さも感じられ、気持ち良く音
楽に浸れる感じがした。
ただ、映画は基本的な部分で反社会的な姿勢が感じられ、そ
れが映画製作者の意図によるものかどうかが多少気になると
ころだった。確かにクルド問題なども出てくれば、それは意
図的とも取れるが、トルコの歴史的な背景は、それだけとも
言えないようだ。
でもその一方で、最初の方に出てくるラップをやっている若
者たちまでが、古典的なトルコ音楽を尊重していることや、
そのトルコ音楽が西欧的な音楽とは明らかに異なっているこ
となどが、いろいろなことを考えさせる。
しかしその点に関して、映画の中では何ら回答が与えられて
いないのにも、観ていて混乱を感じてしまった。まあ、作品
の目的は音楽シーンを辿ることで、そこに他の意図はないの
かも知れないが、何か違和感というか落ち着かない気持ちが
残ったことも確かだ。
聞こえてくる音楽の心地良さと、この落ち着かない気分が、
ちょっと不思議な感じを与えられる作品だった。
『パラダイス・ナウ』“Paradise Now”
昨年のアカデミー賞で外国語映画賞部門にノミネートされた
パレスチナ映画。
アメリカ映画アカデミーはパレスチナを国として認めていな
いため、これまで話題となったパレスチナ映画はあっても、
それが候補に選ばれることはなかった。しかし本作は、フラ
ンス・ドイツ・オランダが参加して、ヨーロッパ映画として
製作されたため、ノミネートが実現したということだ。
ところが、本作の内容がテルアビブを標的とした自爆テロを
描いたものであったために、自爆攻撃の犠牲者の遺族たちか
ら抗議の声が挙がり、受賞式の前には本作をノミネートから
外すことを求める署名運動まで行われたということだ。
しかしこの年は、他方でイスラエルによるアラブゲリラへの
復讐作戦を描いたスティーヴン・スピルバーグ監督の『ミュ
ンヘン』も作品賞候補になっており、その意味ではバランス
が取れていたとも言えるところだ。結果は、両者とも受賞は
しなかったが…
ヨルダン川西岸のイスラエル占領地ナブルス。人々は貧困に
苦しみ、時折ロケット砲も打ち込まれる。そんな町で主人公
となる2人の若者は自動車修理工場に勤めていた。しかし仕
事はあまり無く、貧しい家族を助けることもできない。
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01月19日(金)
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