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On the Production
by 井口健二
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■リバティーン、転がれ!たま子、ウォレスとグルミット、沈黙の追撃、アブノーマル・ビューティ、僕の彼女を知らないとスパイ、ジャケット
『僕の彼女を知らないとスパイ』(韓国映画)
略して『僕かの』ということで、ちょっとパクリ気味の題名
から想像されるように、韓国の若者を主人公にしたラヴ・コ
メディ。元祖の『紹介します』は一種のファンタシーだった
が、本作はそうではない。でも、実は見ていていろいろ考え
させられる作品だった。
主人公は、大学受験に2年連続で失敗した若者と、彼が通う
予備校の近くのハンバーガーショップで働くちょっと訳あり
な感じの女性。女性は彗星のごとく現れ、その美貌で一躍シ
ョップの顔になったものだ。
そんな彼女に一目惚れした若者がいろいろ接近の手立てを講
じ、ついにデートに漕ぎ着けるのだが…その時、彼には義務
兵役の入隊の日が近付いていた。そして彼女にも、その町か
ら消えなくてはならない理由があった。
ちょっとネタばれになるけれど、実は彼女は北朝鮮から潜入
したスパイで、先に潜入して軍資金を持ち逃げしたスパイの
捜索に来ていたのだ。そしてそんな行き違いがいろいろな笑
いを生み出して行く。
ここで登場する兵役とスパイというシチュエーション。この
状況は日本ではとうてい考えられないお話だ。しかもこれが
コメディになっている。その上、北朝鮮がコケにされるのは
当然としても、兵役もかなり笑いにネタにされているのは驚
きだった。
そんな近くてもあまり理解できていない隣国=韓国を見事に
教えてくれる作品とも言えそうだ。しかもその結末には、な
んとなく南北間に架かる夢が感じられるのも素敵な作品だっ
た。と言っても、それが平和ぼけの日本人にどれだけ伝わる
かは疑問だが。
大体題名にしても、この意味が果たして現代の日本人に理解
できるものかどうか。実は、これは北からのスパイの発見法
で、最近有名になっている物を知らなければ、それは潜入し
たばかりスパイかも知れないということなのだ。
昔、大島渚の日本海側を舞台にした映画の中で、主人公の一
人が値上がりしたばかりのタバコを旧値段で買おうとしてス
パイに疑われるシーンがあったが、韓国では今もそれが生き
ているということなのだろう。そんなこともいろいろ考えて
しまう作品だった。
とは言っても、本作の基本がコメディであることに変りはな
い。また、本作ではスパイの彼女が演じるアクションもかな
り見事に決まっていて、その面でも充分に楽しめるものだ。
だから笑って見てくれればそれでいいという作品ではある。
ただ、上記のこともちょっと頭の隅に置いて見て欲しい。そ
んな感じもしたものだ。
『ジャケット』“The Jacket”
エイドリアン・ブロディ、キーラ・ナイトレイの共演で、と
ある実験により1992年の現在と2007年の未来を行き来できる
ようになった男の姿を描いた物語。
主人公は1991年の湾岸戦争で負傷。そのため記憶が徐々に失
われる症状が現れるが、他には異状もないことから退院は許
可される。そして雪道でエンジンの停止した車と酔い潰れた
母親と幼い少女に遭遇し、エンジンを修理した彼は少女に請
われて認識票を与える。
ところが、その後、若い男性の車にヒッチハイクした彼は、
警官殺しに巻き込まれ、記憶が曖昧な彼はその罪を負ってし
まう。そして収容された精神病院で、ありもしない彼の犯罪
性向を矯正するための秘密の実験が施される。
その実験は、被験者に精神安定剤を投与し、拘束衣(ジャケ
ット)を着せて死体安置所のような引き出しに閉じ込めると
いうもの。その実験により、彼の脳裏にはいろいろな記憶が
甦り始めるが、その最中、ふと彼は自分が寒空の下、小さな
ドライブインの前に立っていることに気づく。そして中から
出てきた女性の車に同乗させてもらうが…
マンダレイとセクション8の製作で、アメリカではワーナー
が配給した作品だが、見ていて1980年のケン・ラッセル監督
作品『アルタード・ステーツ』を思い出した。25年前の作品
は瞑想タンクを使って人類の新たな進化を求めるものだった
が、今回は正反対の拘束衣を使用。しかし、副次的に時空を
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12月29日(木)
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