ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460121hit]
■シリアナ、ロード・オブ・ウォー、エミリー・ローズ、ルー・サロメ、メルキアデス・エストラーダ、ディック&ジェーン、チキン・リトル
ドラマを見せられた感じがした。
それから、旅を共にするエストラーダの遺体が、あるときは
無気味であったり、あるときは切ない感じがしたり、そんな
造形になっているのも見事な感じだった。
『ディック&ジェーン/復讐は最高!』
“Fun with Dick and Jane”
1977年にジョージ・シーガル、ジェーン・フォンダの主演で
映画化された『おかしな泥棒/ディック&ジェーン』のリメ
イクを、当代きっての人気コメディアン、ジム・キャリーが
自らの製作、主演で実現した作品。
しかもこのリメイクでは、監督には『ギャラクシー・クエス
ト』のディーン・パリソット、脚本を、初監督の“40 Year
Old Virgin”が全米で大ヒットを記録したばかりのジャド・
アパトゥと、テレビ出身の新鋭ニコラス・ストーラーなど、
最高の布陣が揃えられた。
さらに演技陣では、相手役に『ディープインパクト』などの
実力派ティア・レオーニ、またアレック・ボールドウィン、
ハリウッド版『Shall we Dance?』のリチャード・ジェンキ
ンスなどが脇を固めている。
主人公は、とある企業の広報担当者、郊外の1軒家に住み車
はBMW、しかしお隣さんが特注のメルセデスを買ったのが
羨ましい。そんな彼に広報担当重役への昇進が舞い込む。サ
ラリーマンでは最高の地位に有頂天になる主人公だったが…
CEOの家に招かれ、最初に与えられた指示はテレビの経済
番組への出演。これも大喜びでスタジオに向かうが、待ち構
えいたのは辛辣な質問の数々。そして株価は見る見る下落し
て、会社に戻るとそこは倒産整理の真っ最中。
つまり天国から地獄を1日で味わった主人公だったが、その
間CEOは会社の資産の大半を確保したまま逃亡。しかも倒
産の責任は部下に押しつけ、数10億ドルの資産は誰も手の付
けられない個人のものとなっていた。
最近の研究によると、CEOの平均的な収入は一般従業員の
平均の約400倍。これは10年前の比率の10倍というから、富
の集中、貧富の差の拡大は現実のものになっている。しかも
エンロン、ワールドコムなどのように詐欺まがいの事例も相
次いでいる。
そして、倒産、リストラ、失業など、それに巻き込まれた従
業員の悲哀は、アメリカも日本も同じことだろう。そんな裏
返しのアメリカンドリームを見事に描いているのがこの作品
と言える。
そして主人公は、就職活動もままならないまま失業保険の期
間も満了し、それでも見栄を張って生活を維持していたが、
ついに自宅の差し押さえ令状が送付された日、彼に残された
道は、これしかなかった…
ということで、手っ取り早く夫唱婦随の泥棒稼業に走ってし
まった主人公だが、ここからの描き方が実に上手い。しかも
その結末は見事な大団円という感じで、こんなことは夢のま
た夢と判っていても、最後は思わず拍手喝采したくなってし
まった。
キャリー、レオーニの絶妙のやりとりや、ジェンキンスの日
本映画でも出てきそうなベタな人情味。この辺には普段のハ
リウッドコメディとはちょっと違う味わいがあった。それは
オリジナルの味なのかも知れないが、ちょっと懐かしさも感
じたものだ。
その一方で、途中でキャリー、レオーニに施されるスペシャ
ルメイクは、これが現代ハリウッドの実力という感じで、見
事なものだった。
日米同時公開で、宣伝もキャンペーンもままならなかった作
品だが、描かれているテーマは日米共通のものでもあるし、
特に日本人の大半を占めるサラリーマンには、久々に溜飲の
下がる作品だ。
『チキン・リトル』“Chicken Little”
ディズニーがピクサーとは別に初めて独自に作り上げたオー
ルCGIによるアニメーション作品。しかもそれにILMが
協力して3D化を実現し、一部の劇場では3Dで上映が行わ
れる。ということでその3Dによる上映を見せてもらった。
物語は、落ちこぼれのニワトリの子供が主人公。ある日、彼
は空の欠片が落ちてくるのを目撃し大騒ぎをするが、肝心の
[5]続きを読む
12月14日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る