ID:47635
On the Production
by 井口健二
[471186hit]

■ディア・ウェンディ、ザ・コーポレーション、RIZE、三年身籠る、イントゥ・ザ・サン、変身、NOEL、ポビーとディンガン
『変身』
1991年に発表された東野圭吾原作の映画化。東野原作の映画
化はすでに何本かあり、それぞれそれなりの成功は納めてい
るようだ。
物語は、無器用だが一人の女性を愛していた男が、ある事情
で脳外科の手術を受け、徐々に人格が変化して行く。男は自
分が愛していたはずの女性を愛せなくなっていることに気づ
き、自分の受けた手術の真相を突き止めようとするが…とい
うもの。
実は、僕は原作を読んでいないのだが、読んだ家人の話によ
ると、原作は一人称で書かれたもので、徐々に自分の人格が
失われて行く様子が見事に描かれていて、大変恐い作品なの
だそうだ。
しかし映画で一人称というのは、本当は最も描きにくいもの
の一つで、モノローグばかりでは映画にならないし、それを
映像だけで描き切るのは至難の技と言えるものだ。それに果
敢に挑んだのが、助監督出身でこれがデビュー作の佐野智樹
監督ということだ。
さて映画は、原作を知らないでみると実にうまく作られてい
る。事前に原作が一人称であることは知っていたが、その部
分は最小限のモノローグに納めて、しかも変身して行く過程
が、丁寧な演出と映像で良く表現されていると言っていいだ
ろう。
もちろんそこには、主演の玉木宏の演技力もあるが、正直に
言って今年何本か見た玉木の演技では、この作品が一番良い
と感じたものだ。
特に、変身が始まってからの作り笑いと、それ以前の自然な
笑いとの演じ分けはよくされていたし、突然凶暴になる辺り
は、どちらかと言うと日本映画ではよくあるパターンかもし
れないが、うまく演じられていたように思えた。
ある種、最近流行りのアルツハイマーにも通じるテーマにも
捉えられるし、その点では以前から書いているように僕なり
の思い入れもあるのだが、その部分でも納得して見ることが
できたものだ。

『NOEL』“Noel”
ペネロペ・クルス、スーザン・サランドンの共演で、ちょっ
としたクリスマスの奇跡を描いた物語。1993年にロバート・
デニーロが監督デビューに取り上げた『ブロンクス物語』の
原作でも知られる俳優チャズ・パルミンテリの映画監督デビ
ュー作。
他に、アラン・アーキン、ポール・ウォーカー…らが共演し
ている。特に、『ワイルド・スピード』『タイムライン』の
ウォーカーは、今まではアクション映画しか印象のなかった
俳優なので、彼の新しい面が見えたようで面白かった。また
配役では、重要な登場人物が1人隠されている。
クリスマスイヴ。雪の積もったニューヨーク。
人々が愛に包まれるこの時期に、愛を遠ざけようとする2人
の女性。1人は、離婚経験とアルツハイマーの母の看護で、
自らの愛を拒絶している。もう1人は、結婚式を1週間後に
控えて、嫉妬深い婚約者の態度に愛の行方を案じている。
この他に、14歳の時に病院で迎えたクリスマスが一番楽しか
った思い出だと言う青年の行動などがサブストーリーとして
描かれて行く。そして、これらの愛に迷った人々の心を、聖
夜に舞い降りた天使たちが優しく包み込んで行く。
人々の心にはいろいろな傷がある。その心の傷を癒してくれ
るは、愛情に溢れた人との交流だろう。しかし心の傷が深く
なってくると、その交流すらも疎ましくなってしまう。そん
な人々が様々の切っ掛けで、愛情を取り戻して行く物語だ。
数多くの出演者によっていろいろなエピソードが並行して描
かれ、それらは互いに近づいたり遠ざかったりしながら、そ
れぞれの結末に向かって行く。
アンサンブル劇と言うほどではないが、それぞれのエピソー
ドが印象深い映像と演技で描かれて行く。クリスマスの夜に
誰かと見るには最適な作品と言えるかも知れない。

『ポビーとディンガン』“Opal Dream”
1999年に発表され、日本でも10万部以上発行されているとい
うベン・ライスの原作を、原作者自らの製作総指揮、脚本、
そして『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督で映
画化した作品。
オーストラリア東南部のライトニングリッジ。オパールの産

[5]続きを読む

10月30日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る