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On the Production
by 井口健二
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■女は男の未来だ、秘密のかけら、僕のNYライフ、ダイヤモンド・イン・パラダイス、少林キョンシー、七人のマッハ、トレジャー・ハンターズ
も感じられて感心するところだった。
ただまあ、上記の通りサーヴィスてんこ盛りなのは良いのだ
が、上映時間が2時間2分というのはいささか長い。その分
アクションは堪能できるので、そのファンの人には良いのか
もしれないし、コストパフォーマンスは間違いなく良いと思
えるが、見るには多少体力の要る作品にも思えた。

『七人のマッハ!!!!!!』(タイ映画)
2004年5月31日付で紹介した『マッハ』に主演のトニー・ジ
ャーの師匠であり、同作のアクション監督も務めたパンナー
・リットグライが、原作、監督、アクション監督を手掛けた
作品。原題には、リットグライが自主製作したデビュー作の
題名が付けられているそうだ。
国境近くの村を舞台に、武装ゲリラとの闘いを、サッカー、
セパタクロー、体操、ラグビー、テコンドーなど本物のタイ
国チャンピオンたちの演技を交えて描いた作品。
主人公はバンコク警察の刑事。テコンドーの名手でもある彼
は、大きな犠牲と引き換えに大物活動家の逮捕に成功する。
しかし、その犠牲へのショックの癒えない彼は休職し、やは
りテコンドーの使い手の妹と共に、国境の村への慰問活動に
同行することとなる。そしてその慰問団には、いろいろな競
技のアスリートたちも参加していた。
ところが、その慰問活動も終りかけた頃、突如武装ゲリラが
村を襲い、村人を虐殺しながらその模様を閣議の場にネット
中継するという事件が勃発する。そしてゲリラの要求は、先
に逮捕された大物活動家の身柄を開放させることだった。
この武装ゲリラに、徒手空拳のアスリートたちが闘いを挑む
姿が描かれて行く。
まあ、テコンドーは当然として、サッカーやセパタクロー、
ラグビーなどの技も想像できるが、体操は…結局はこれもま
あ予想通りであったりはしたが、それなりにうまくアレンジ
されていて面白く見られた。逆に体操の技が決まったときの
方が、見た目も美しく良い感じだったとも言える。
そんな訳で、結構楽しく見られる作品だったのだが、実は見
ている間に、段々その描き方のシリアスさに、ただの娯楽を
超えた意志のようなものが感じられて、居住まいを正す気持
ちにさせられた。
実際、ゲリラが無差別に村人を虐殺するシーンには、単なる
ドラマ以上の迫力が感じられ、反撃しようとする主人公たち
の思いが通常のヒーロー映画の感覚以上に迫ってきて、その
気持ちに共感させられるところが大きかった。
実は、反撃の切っ掛けには、タイ国歌が流れたり、国王の肖
像画が登場したりしてナショナリズムの発露のようにも見え
る。しかしこの映画から感じるのは、もっと根元的な自分の
住む場所を守ろうとする気持ちの現れであり、それは抽象的
な国家とは異なるものだ。
言い換えれば、愛国と称して戦犯を奉った神社を参拝するよ
うな見てくれだけではない、真の愛国心をこの映画は見せて
くれているようにも感じられた。
僕自身は非戦論者だし、この映画では多分無惨に殺されてし
まう村人の一人だろうとは思うが、見ていて、こんな愛国心
なら自分にもあるのかな、とも感じさせられた。
考えてみたら、最近いろいろと公開されるタイ映画は、どれ
も真剣に作られているものばかりで、生半可な態度で作られ
たような作品は思いつかない。その辺は、島国根性で国民皆
がボーとし、ヒトラーもどきに支配を許している国とは違う
世界のようにも感じた。
なお劇中には、タイ映画の特徴でもある爆破シーンもたくさ
ん用意されているので、その辺も充分に堪能できる。特に、
前半に登場する斜面の村の大破壊シーンは、ジャッキー・チ
ェン主演の1985年作『ポリス・ストーリー』を髣髴とさせて
見事なものだった。

『トレジャー・ハンターズ』“Without a Paddle”
ある切っ掛けで再会した30歳前後の3人の男が、子供の頃に
目指していた宝の在処を求めて大冒険を繰り広げるアドヴェ
ンチャー・コメディ。
『ミニミニ大作戦』のセス・グリーン、『スクービー・ドゥ
ー』のマシュー・リラード、それにテレビの人気者のダック

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10月14日(金)
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