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On the Production
by 井口健二
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■ナニワ金融道、七人の弔、メゾン・ド・ヒミコ、輝ける青春、世界、マイ・ファーザー
京。しかし、その変貌を目の当りにしていても、1歩踏み出
すことをためらう若者たち。そんな切なさが手に取るように
感じられた。こんな青春、今の日本にもあるのだろうか。 
なお、映画の舞台は北京に実在する「世界公園」だが、実際
の撮影は深センにあるさらに大規模な「世界之窓」で行われ
ている。日本にも鬼怒川などに同様の施設があり、僕も見に
行ったことがあるが、そのスケールの差はさすが中国という
感じだった。                     
因みに、本作が監督と3度目のコラボレーションとなった主
演のチャオ・タオは、「世界之窓」でショウダンサーをして
いたことがあるそうだ。                
                           
『マイ・ファーザー』“My Father-Rua Alguem 5555”   
1985年、ブラジル・マナウスの墓地に白骨遺体で発見された
ナチス戦犯ヨゼフ・メンゲレと、彼の息子ヘルマンの姿を描
いたドラマ。息子役に『戦場のピアニスト』でドイツ将校を
演じたトーマス・クレッチマンが扮し、父をチャールトン・
ヘストンが演じる。                  
1976年、メンゲレの息子ヘルマンは、ある手引きによってブ
ラジルを訪れる。その目的は戦犯でありながら逃亡を続ける
父親と会い、自分の考えを父親に告げることだったが…  
1960年代後半の西ドイツ学生運動のリーダー格としても知ら
れたピーター・シュナイダーが、1987年に発表した実話に基
づく小説“Vati”(父)を、イタリア人でドキュメンタリー
出身の監督エジディオ・エローニコが12年の歳月を掛けて映
画化した。                      
ヘストンは、オスカー俳優でありながら1968年『猿の惑星』
に始まって、『ソイレントグリーン』『オメガマン』とSF
映画を連発し、自分の好きなSF映画の隆盛に寄与してくれ
た俳優として感謝している。              
しかし、マイクル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロン
バイン』で描かれたように全米ライフル協会々長として反動
的な言動を繰り返し、さらにムーアの直撃インタヴューの有
り様では幻滅を感じざるを得なかった。         
そのヘストンがメンゲレを演じるというのは、一体どんな心
境なのかは計り知れないが、確かに堂々と持論を述べ続ける
メンゲレの姿には、周囲を圧倒する強さがあり、その意味で
このキャスティングは見事と言える。          
そして、その強さがそれに立ち向かうこともできなかった息
子の弱さをさらけだし、それは観客の僕らにも刃を突きつけ
る。今、A級戦犯を祀る神社に毎年参拝する首相の姿を見る
とき、自分らもこの息子と同じなのではないか、そんなこと
を思わされた。                    
先日『ヒトラー』の映画を見たばかりで、今度はメンゲレ。
時代を検証する気運の中での作品とも言えるが、先日の作品
が何か反動的な雰囲気を醸していたのに対して、本作は率直
に過去の罪を告発しているように感じられる。      
ただし本作の製作は、イタリア・ブラジル・ハンガリー合作
で、ドイツは入っていない。敢えて言えば、『ヒトラー』は
ドイツの映画会社の製作だった。そんなドイツと日本が今、
国連で常任理事国入りを目指している。これはまさに茶番と
言えそうだ。                     

06月14日(火)
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