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On the Production
by 井口健二
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■第64回
ピーター・ジャクスンに、『LOTR』を任せて大成功した
という思いもある訳で、今回もウェイツの熱心さに賭けてみ
ようという気分になったのかもしれない。なおウェイツは、
今までの作品は全て兄弟のポールとの共同監督だったが、す
でにポールは単独の作品を手掛けているということで、今回
はクリス単独の監督作品になるようだ。
ということで、ウェイツの監督が決まりそうなのだが、実
は決定と言えないのにはいくつか問題が残っていて、その一
番目は、ウェイツはすでに完成しているストッパードの脚本
を使わずに、自ら脚色をし直すと言っているということだ。
しかし、まだその脚本は執筆されていない訳で、脚本の作り
直しとなるとかなりの時間が掛かることになる。
またこのシリーズでは、第3巻の“The Amber Spyglass”
が、子供向けの作品では初めてイギリスの文学賞のホワイト
ブリード賞を受賞して話題になったものだが、実はこの第3
巻は内容的に映画化がかなり困難なものということで、ニュ
ーラインでは3作を再構成して2部作で映画化することも検
討していると言われている。しかしそうなると、ウェイツが
またどう動くかも不明ということで、監督の契約が交わされ
るまでには、まだ少し時間が掛かりそうだ。
* *
トリロジーの次は、その10倍のすでに30巻に達することが
発表されている長大シリーズで、ピアズ・アンソニー原作の
“Xanth”の映画化が本格的に動き始めた。
このシリーズの映画化に関しては、以前からワーナーが権
利を所有していたものだが、今回は、1977年に発表されたそ
の第1作“A Sell for Chameleon”の映画化に、『トロイ』
が公開されたばかりのウルフガング・ペーターゼン監督と、
同作の脚本を手掛けたデイヴィット・ベニオフの参加が発表
された。
この原作は、日本でもすでに10数巻が翻訳されているが、
ザンスと呼ばれる魔法世界を舞台に、その世界に住む少年の
成長を描いたもの。僕自身は原作の読者でないので詳しくは
判らないが、参加の決まったベニオフは、一時は彼自身で映
画化権を獲得しようとしたこともあるほど原作が気に入って
いるということで、彼は、「『LOTR』が完結し、続いて
“The Lion, the Witch and the Wardrobe”が準備されてい
る現在では、残された最後の大作」と評している。
同じ言葉は、最近別の作品でも聞いたような気がするが、
いずれにしても30巻も続いているということは、それだけの
読者が確保されているということだ。因に、このシリーズ、
本国アメリカでは今年第28巻が刊行され、来年第29巻、さら
に第30巻が現在執筆中ということになっている。
そして、『トロイ』でチームを組んだベニオフとペーター
ゼンの参加となった訳だが、実は、ベニオフ自身はすでに執
筆のスケジュールが一杯で、今回の脚色は直接執筆すること
はできないようだ。しかし、ペーターゼンと共に有望な脚本
家を選抜して、その管理監督をするとしている。
一方、ペーターゼンの方も、本作を監督すれば、1984年の
『ネバーエンディング・ストーリー』以来のユース・ファン
タシー作品となるものだが、彼には2002年6月15日付第17回
などで紹介したオースン・スコット・カード原作の冒険SF
シリーズ“Ender's Game”の監督が決定しており、こちらも
別の監督が立てられることになりそうだ。
因に、“Ender's Game”の映画化については、先に『X−
MEN2』を手掛けたマイクル・ドアティ、ダン・ハリスの
脚本家コンビの起用が発表されるなど、映画化の準備が急に
なっているようで、一気に2つのシリーズの映画化が進み始
めている。
* *
後半は短いニュースをまとめておこう。
まずは、前回に続いてハリスン・フォードの新作情報で、
ジェームズ・キャメロン主宰のプロダクション=ライトスト
ームが製作するSF作品への出演が発表されている。
この作品は、『The Eye』のハリウッドリメイクな
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06月01日(火)
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