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On the Production
by 井口健二
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■第63回
れており、さらに、“The War of the Worlds”“Seconds”
“Pet Sematary”“The Warriors”“Last Holiday”“It
Takes a Thief”“The Reincarnation of Peter Proud”の
リメイク計画が進行中となっている。
オリジナルがあって初めてリメイクが可能であることは、
誰の目にも明白な事実だが、すでに膨大な過去の作品を抱え
ているハリウッドのメイジャー映画会社では、オリジナルの
人気でそこそこの興行が保障されるリメイクの勢いは、今後
も押さえられそうにない感じだ。
* *
お次は、先日『ペイチェック』が公開されたフィリップ・
K・ディック原作の映画化で、1977年に出版された長編小説
“A Scanner Darkly”の計画が発表されている。
お話は、未来の警察組織で、風貌から人格まで変えて麻薬
捜査を行う潜入捜査官が主人公。彼には2つの人格があり、
その一方の人格は麻薬売人のボブ・アークター。ある日、ボ
ブは仲間の男を殺し、彼自身が究極の麻薬サブスタンスDの
虜になってしまう。そしてもう一方の人格フレッドは、すで
に麻薬常習者となっている捜査官だが、彼は、ボブ・アーク
ターと名乗る麻薬売人を追っていた。
この物語は、ディックの麻薬体験に基づいて執筆されたも
のと言われ、内容的には、ほとんどのシーンが麻薬による幻
覚を描いているとされる。
従ってその映画化では、視覚的にいろいろなテクニックが
要求されると言われているが、今回この映画化に挑むのは、
昨年『スクール・オブ・ロック』でスマッシュヒットを飛ば
した監督のリチャード・リンクレイター。実は、彼はその前
の2001年に“Waking Life”という実験的な作品を手掛けて
おり、今回はそのテクニックが再現されると言うことだ。
そしてそのテクニックとは、一旦実写で撮影を行い、その
映像をアニメーションに移し変えるというもので、このテク
ニックの実現のため、彼は前作でも協力を得たアニメーショ
ン監督のボブ・サビストンに今回も協力を仰ぐとしている。
また全体の調和を図るために、短編アニメーション作家で、
ミュージックヴィデオやゲーム映像などで実績のあるトミー
・パロッタを、プロデューサーとして参加させている。
製作は、スティーヴン・ソダーバーグとジョージ・クルー
ニー主宰のセクション8で、アメリカ配給はワーナー傘下で
アート系の作品を手掛ける部門のインディペンデンス。出演
は、ワーナー作品には『マトリックス』シリーズ以来となる
キアヌ・リーヴスが主演の他、ウィノナ・ライダー、ウッデ
ィ・ハレルソン、ロバート・ダウニーJrら錚々たる顔ぶれが
揃っており、作品への期待が現れているようだ。
リンクレイターの脚色で、撮影は5月中に開始される。
* *
後半は短いニュースをまとめておこう。
最初はテリー・ギリアム監督の情報で、ベルリンで製作中
の“Brothers Grimm”に続く作品を、9月7日からカナダの
サスカチュアンで撮影することが発表されている。
この新作は“Tideland”という題名で、ミッチ・コーリン
の原作をギリアムとトニー・グリソーニが脚色したもの。内
容は、テキサスの田舎町に住む少女が過酷な現実から逃れる
ために、胴体から切り放された4個の人形の頭の導きで、い
ろいろなファンタシー世界に入って行くというもの。そして
映画化では、これらの人形の頭の声には、高名な俳優たちが
参加するということだ。
なお、製作はイギリスとカナダの共同で行われ、ヨーロッ
パ地区の配給権はイギリス側の出資者が確保しているという
ことだが、その他の地域の配給に関してはこれから交渉が行
われるそうだ。
* *
続いても、良く似た感じのファンタシーの計画で、ニュー
ヨークを舞台にした“The Nature of Enchantment”という
作品を、ダニー・デヴィート、クリスティン・スコット=ト
ーマス、そしてマイクル・ケインの共演で9月に撮影開始す
る計画が発表されている。
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05月15日(土)
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