ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■たしかにあった幻、在日ミャンマー人−わたしたちの自由−、ブゴニア、木挽町のあだ討ち
た江戸・芝居小屋が舞台の小説の映画化。
事の発端は1年半前、江戸木挽町の芝居小屋・森田座の前で
仇討が行われる。それは「仮名手本忠臣蔵」の千穐楽が跳ね
た直後で、雪積もる中で見事成し遂げられた仇討には数百人
のやじ馬が目撃者となった。
それから1年半後、1人の田舎侍が森田座の前に現れる。そ
の侍は森田座の呼び込みをやっていた木戸芸者に話し掛け、
故あって仇討の詳細が知りたいと切り出す。その風情に木戸
芸者は森田座に招じ入れるが…。
木戸芸者や立師、元女形の衣装方、小道具方の夫婦など森田
座の裏方たちの話の中から、徐々に仇討の詳細が明らかにな
って行くが、そこには田舎侍が抱える問題も隠されていた。
果たしてあだ討ちの真相とは?
出演は柄本佑、渡辺謙、長尾謙杜、北村一輝。さらに瀬戸康
史、滝藤賢一、山口馬木也、愛希れいか、イモトアヤコ、野
村周平、高橋和也、正名僕蔵。そして石橋蓮司、沢口靖子ら
が脇を固めている。
脚本と監督は2005年8月紹介『大停電の夜に』などの源孝志
による作品だ。
物語としては謎解きミステリーなのだけれど、謎解き自体は
ほぼ予想通りに進んでしまうものの、そこにいろいろな人情
劇や江戸時代の藩政治の問題などが絡み合って、実に飽きさ
せない展開になっている。
さらに当時の芝居小屋の舞台裏のようなものも描かれていて
そこも面白く楽しめた。因に木挽町は現在の歌舞伎座の立つ
辺りの旧名。と言うことは最後に先の川までというのは現在
は首都高になっている築地川なのかな。
物語の背景になっている美濃半紙は子供時代に習字を習って
いた頃にお世話になっていたものだし。そんな身近な感覚に
も惹かれるものがあり、本当に楽しめる作品だった。登場人
物の殆んどが身分を捨てた者たちと言うのも良い。
仇討の殺陣も見事に決まっており、それを芸達者たちが巧み
に仕上げている作品だ。
公開は2026年2月27日日より全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社東映の招待で試写を観て投稿す
るものです。

12月14日(日)
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