ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459580hit]
■マグダレーナ・ヴィラガ/クイーン・オブ・ダイヤモンド、ハピネス、フェラーリ、わたしの物語
バイス』などで培ったフェラーリ社との人脈を駆使して今回
の映画化に漕ぎ着け、半ばインディペンデント映画の体制で
本作を完成させたそうだ。
因に劇中登場するレーシングカーには1台1億ドル以上の価
値があるとされ、そのまま撮影に使用することはできなかっ
たが、フェラーリ社が所有する実車から直接3Dスキャンし
た外装を現代の車台に載せたものが撮影されている。
この他に1957年当時のベンツやポルシェなどは、コレクター
が所有している実車が多数登場しているそうだ。カーマニア
には垂涎の作品とも言えそうだ。
公開は7月5日より、全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社キノフィルムズの招待で試写を
観て投稿するものです。
『わたしの物語』“Is There Anybody Out There?”
四肢に障碍のあるイギリスの女性が、自ら映画を学んで監督
した一人称ドキュメンタリー。
1992年生まれの女性の障碍は、生まれつき股関節がなく両脚
の大腿骨が著しく短いというもの。このため身長は子供並み
なのだが、腰から上はどちらかというと愛らしい容姿の成人
女性になっている。
そんな女性が中指を立てながら激しく踊るシーンから映画は
始まる。それは異形ではあるけれど、どこか受け入れられる
感じがする…。それが監督の描きたいものを全て語っている
ような、そんな導入だった。
そこから彼女=監督は、自分と同じ姿の大人を探す旅を始め
る。それはまずFacebookでの問いかけから始めるが、該当者
はなかなか現れない。それでもアメリカ人のメイクアップ・
アーチストを見つけるが、COVID-19禍で旅行は難しかった。
その一方でシングルマザーで彼女を育てた母親や、彼女が原
因かもしれない離婚をした父親との会話や、さらにアメリカ
で治療を行う医師との面談、そしてサリドマイド児の活動家
との会話など。様々な人物との交流が描かれる。
そんな中で彼女は1人の男性と知り合い、我が子を抱くまで
にもなり、遂に家族3人でのアメリカ訪問も実現する。そん
な姿が描かれて行く。
監督、出演はエラ・グレンディニング。すでにドラマを含む
短編作品を発表している彼女の初長編監督作品とのことだ。
なお彼女は他の監督のドラマ作品に俳優として出演してもい
るそうだ。
実は近所の総合病院に同様の症例と思われる女性看護師が以
前在職されていて、採血などをして貰っていた記憶がある。
従って本作で同症者が見つからないという説明にはおや?と
思ったが、細かいところでいろいろ拘りもあるのだろう。
そんなことも含めていろいろ考えさせられる作品だった。た
だそれを屈託なく提示しているところが本作の良さで、それ
を僕らも屈託なく受け入れる、それがこの作品に対する回答
だろう。
それにしてもアメリカ人医師の治療法などはかなり衝撃的だ
ったが、それに対する彼女の考え方も素晴らしくて、これな
ら今後もいろいろと彼女の活躍が見られそうだ。見事な作品
だった。
公開は6月22日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社パンドラの招待で試写を観て投
稿するものです。
04月14日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る