ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459599hit]
■梟−フクロウ−、水平線、PLAY!、ボーはおそれている
青春ドラマで描くのは常套ではある。その意味では巧みに作
られた作品なのだろう。
公開は2024年3月8日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷
他にて全国ロードショウとなる。
『ボーはおそれている』“Beau Is Afraid”
2018年10月紹介『ヘレディタリー/継承』、2019年12月2日
付題名紹介『ミッドサマー』に続くアリ・アスター脚本、監
督による上映時間 179分の第3作。
主人公のボーが暮らすのは終末を思わせる荒んだ都会にある
アパートの一室。極度の心配性のボーは医師から飲み薬を処
方されるが、それは水無しで飲むと死ぬかもしれないという
劇薬だった。
そして夜になり、翌日母親を訪ねるため早朝の飛行機便を予
約したボーは早く寝ようとするのだが、突然ドアが叩かれ、
ドアの下から「静かにしろ」という手紙が差し込まれる。そ
れは全く身に覚えのないことだった。
ところがその抗議は夜中じゅう繰り返され、ようやく寝つい
たボーが起きたのは飛行機の出発にぎりぎりの時間。しかも
パニックになったボーが処方された薬を飲むと水道が断水に
なっており、慌てて水を求めたボーは…。
まず不穏な雰囲気の中で物語がスタートし、そこからとんで
もないドタバタ劇が繰り広げられて行く。
主演は2019年4月21日付題名紹介『ゴールデン・リバー』な
どのホアキン・フェニックス。共演には2012年6月紹介『白
雪姫と鏡の女王』などのネイサン・レーン、2022年12月紹介
『WORTH 命の値段』などのエイミー・ライアン。
他にスティーヴン・マッキンリー・ヘンダースン、ヘイリー
・スクワイアーズ、ドゥニ・メノーシェ、カイリー・ロジャ
ーズ、パーカー・ポージー、パティ・ルポーンらが脇を固め
ている。
心配性の裏に潜むトラウマなど、現代人が陥りそうな恐怖が
次々に提示され、それが無声映画時代のスラップスティック
を髣髴とさせるドタバタやアクションの連続の中で展開され
て行く。
しかも上映時間は約3時間の長尺。それをしっかりと描き切
るのだから、これは鬼才というよりもはや怪物としか言いよ
うのない監督の作品だ。それにしてもトラウマの正体がこれ
とは…、監督は小松左京の読者なのかな?
兎にも角にもすさまじいエネルギーで、いやはや参りました
としか言いようのない作品だった。
公開は2024年2月16日より、東京地区はヒューマントラスト
シネマ渋谷、グランドシネマサンシャイン池袋、TOHOシネマ
ズ日比谷他にて全国ロードショウとなる。
* *
以上で今年の更新は終了。2023年は試写会で 181本を鑑賞
させていただきました。とは言えこの本数でベスト10の選定
などはおこがましいので、そのようなことは控えさせていた
だきます。
なお 181本の内で先週鑑賞した1本は情報開示の規制のた
め保留となっており、その作品の紹介は2月第1週にさせて
いただきます。また年末年始は試写鑑賞の予定を入れていま
せんので、次回の更新は1月第2週となります。
それでは良い年をお迎えください。
12月24日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る