ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459561hit]
■モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン、理想郷、シェアの法則、サタデー・フィクション、二人静か、きのう生まれたわけじゃない
一方、上海の軍令部に本国から1人の日本人がやってくる。
それは軍部が行う通信の暗号を改訂するためだったが、その
情報を得るために各国の諜報部が動き出す。そして女優が上
海にやってきた真の目的とは。
上記の他の出演者は、2010年11月紹介『モンガに散る』など
のマーク・チャオ、2020年2月紹介『水曜日が消えた』など
の中島歩、2020年2月23日付題名紹介『ポルトガル、夏の終
わり』などのパスカル・グレゴリー。
さらに東ドイツ出身で2014年1月紹介『ラッシュ/プライド
と友情』などのトム・ヴラシア、舞台俳優で映画初出演のホ
ァン・シャンリー、2020年3月22日付題名紹介『薬の神じゃ
ない!』などのワン・チュアンジュン。
そして2022年11月紹介『シャドウプレイ』などロウ・イエ作
品に常連のチャン・ソンウェンら、国際的な配役が作品に彩
を添えている。
原作は、ロウ・イエ監督の友人でもあるホン・インが2013年
に発表した小説『上海之死』。また劇中の舞台で演じられる
演劇『礼拝六小説(サタデー・フィクション)』は横光利一の
小説『上海』の舞台化とされている。
映画に登場する劇場やホテルなどは往時のものが保存された
上海現地での撮影ということで、登場する銃器やクラシック
カーなどと共に映画の見どころと言えそうだ。ただし尋問の
シーンで登場するオープンリールは?
テープレコーダー自体は当時すでにドイツでは軍事目的など
で実用化されているようだが、映画に登場するようなリール
の配置が縦型のものはどうか? 僕の記憶では市販品が登場
した戦後の製品のような気もするが。
公開は11月3日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋、アップリンク
吉祥寺他にて全国順次ロードショウとなる。
『二人静か』
前回紹介『花腐し』に出演していた坂本礼監督が文化庁主幹
によるAFF2(コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)
の助成を受けて製作した作品。因に助成の条件には「映倫番
号を取得して有料一般公開されること」とあり、本作は映倫
審査のR18+指定にて一般公開される。
登場するのは中年の夫婦。夫婦は5年前に行方不明となった
娘の消息を訪ねる看板を立てて、チラシ配りを駅前で実行し
ていた。そんな夫婦の許には「むすめはしんでいる」と書か
れた中傷の手紙も届いていたが…。
そんなる日、妻がチラシを渡した若い妊婦が突然手伝いたい
と申し出る。その好意を受けて3人でのチラシ配りを続けた
夫婦は、次第に妊婦と親しくなり、家にも招くようになって
行く。そんな妊婦にはある秘密があった。
出演は、2008年12月紹介『へばの』などの西山真来、2012年
9月紹介『黄金を抱いて翔べ』などの水澤紳吾。他に2019年
の朝ドラ『まんぷく』に出演のぎぃ子。
さらに新鋭の裕菜。個性派俳優の伊藤清美、佐野和宏、川瀬
陽太、小林リュージュらが脇を固めている。
脚本は『花腐し』も手掛けた中野太が担当した。
幼女の行方不明というのは、誘拐・監禁など性的な問題も含
めていろいろと映画になったこともあるが、それを親の側か
ら描くのは北朝鮮拉致問題などもあって少し描き辛いところ
もあるのかな。
でも自分も女児を育てた親の目で見ると、この両親の辛さや
葛藤は実に良く判るし、現代に起こりうる状況として多くの
問題提起を孕んでいるようにも感じられる。そんな現代社会
が抱える問題を巧みに描いた作品とも言えそうだ。
であれば、ぎぃ子が演じた役柄も含めてもっとストレートに
描き切っても良かったのではないかと思うのだが。監督の習
い性なのかR18+指定の作品にしてしまっている。それも少し
取って付けたような感じなのは…。
これがないと坂本礼作品ではないということになってしまう
のかな。僕にはその辺の解釈は判らなかった。
公開は11月4日より、東京地区は新宿K'cinema他にて全国順
次ロードショウとなる。
因にAFF2の規定では「完成(初号試写)日から1年以内に、
有料一般公開(概ね7日間以上かつ14回以上)されない場合
[5]続きを読む
09月17日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る