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On the Production
by 井口健二
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■花腐し、春画先生、QUALIAクオリア、コーポ・ア・コーポ、SISU/シス 不死身の男
を皆で引き下ろし警察も呼ぶ面々だったが、その部屋に積ま
れた拾ってきた家電の品定めは怠らない。
そしてその日は外のベンチでタバコを吸いながら、「金を借
りに来たが貸さなかった」などの思い出話で悲嘆にくれる。
そんな住人たちの日々の出来事が各人ごとのエピソード的に
綴られて行く。
出演は2014年3月紹介『パズル』がデビュー作という2015年
『仮面ライダードライブ』などの馬場ふみか、2023年1月紹
介『Winny』 などの東出昌大、2023年8月紹介『市子』など
の倉悠貴、2022年6月紹介『川っぺりムコリッタ』などの笹
野高史。
さらに前田旺志郎、北村優衣、藤原しおり、片岡礼子、大谷
麻衣、山本浩司、白川和子、岩松了らが脇を固めている。
原作は連載コミックスだから、それぞれの登場人物の1話完
結で描かれているのかな。それを映画では住人4人の役名を
冠しながら独立の話として描いて行く。それはやり方として
間違ってはいないが、やはり食い足りないかな。
しかもそれぞれのエピソードの舞台がアパートを離れてしま
うから、一層その感じが増幅されてしまう感じもした。これ
はこの前に他の作品でも同じ指摘をしたと思うが、映画では
それなりにしっかりしたドラマを見たいと思うものだ。
ただし本作では最初と最後に連続するエピソードを配して全
体の纏まりは付く工夫はされているが、やはり各エピソード
が短いのは勿体ない感じもしてしまう。原作ではもっと深い
話があったのではないかとも思ってしまうのだ。
これは勝手な妄想かも知れないが。
公開は11月17日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて
全国ロードショウとなる。

『SISU/シス 不死身の男』“Sisu”
第2次大戦末期のフィンランド北部ラップランドを舞台に、
焦土化作戦を展開するナチスをたった1人で蹴散らして行く
兵士を描いた痛快アクション作品。
主人公は元はロシア軍に怖れられた伝説の兵士だった。しか
し戦いに疲れ、ラップランドでツルハシ1本を携えて砂金を
採っていた。ところが金塊を携えて町に向かう途中でナチス
に遭遇してしまう。
そこで砲撃に遭い金塊をぶちまけてしまった主人公は、それ
を拾い集めているところのナチスに目撃され、執拗な追撃を
受けることになる。しかしそれはナチスを殲滅する最高の結
末に繋がっていた。
そしてそこにナチスに拉致された女性たちの運命も重なり、
とんでもない事態が展開されて行くことになる。
脚本と監督は、CM業界の出身で2015年にサミュエル・L・
ジャクスン主演の『ビッグ・ゲーム大統領と少年ハンター』
が話題になったフィンランド出身のヤルマリ・ヘランダー。
主演は同作にも出演のヨルマ・トンミラが務める。
他にノルウェー出身でハリウッドに進出し、紀里谷和明監督
の『ラスト・ナイツ』などにも出演のアクセル・ヘニー、イ
ギリス出身で配信ドラマに出演のジャック・ドゥーラン、フ
ィンランドのアカデミー賞を受賞しているミモサ・ヴィッラ
モ、主演のヨルマの息子で『ビッグ・ゲーム』にも出演のオ
ンニ・トンミラらが脇を固めている。
タイトルには不死身とあるが、実際の設定では怪我もするし
巧みに攻撃を回避しているという感じかな。もちろんかなり
無茶苦茶な攻撃を回避しているが、あくまでも人間の所業の
範囲という感じで、これはスーパーマンの話ではない。
つまり007やイーサン・ハント、ドミニク・トレドらと同
列で、生身の人間が能力を最大限に発揮して闘うという類の
ものだ。もちろんその闘いぶりは尋常ではないが、超人同士
の戦いよりは観ていて気持ちが良い。
それにしてもカバンに詰めた金塊はかなりの重量で、これを
軽々と運べるのはかなりの力持ちかな。そしてそれを紙幣に
換えるのはつまり国庫に納めるということで、これは理に適
った行動だ。ただ最後に犬との再会は欲しかったかな。
文句はそんなところだ。
公開は10月27日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて
全国ロードショウとなる。

09月10日(日)
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