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On the Production
by 井口健二
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■メドゥーサ・デラックス、熊はいない、ハント、6月0日アイヒマンが処刑された日
そんな状況の下で死刑の準備が進められ、その一方でとある
町工場に遺体を焼却するための炉の製作が依頼される。そん
な作業の様子が、リビアから移住してきたアラブ人の少年の
眼を通して描かれる。
つまり少年はユダヤ人ではなくユダヤ教徒でもない。従って
ユダヤ人のアイヒマンに対する想いも理解できないし、ただ
冷静かつ誠実に出来事を見ているものだ。日本人には今さら
の感もするが、焼却炉製作の顛末などは面白かった。
撮影はイスラエルと、一部はウクライナ・キーウの近郊でも
行われており、恐らくはロシアの侵攻で破壊されたであろう
強制収容所跡地の映像は、今や貴重な時代の証言にもなって
いるようだ。
脚本と監督は、オスカー女優グウィネス・パルトロウの弟の
ジェイク・パルトロウ。共同脚本にイスラエル出身で受賞歴
を持つ監督でもあるトム・ショヴァルが参加している。因に
言語はヘブライ語で撮られた作品だ。
また出演者にはイスラエル人の俳優が起用され、キーとなる
少年の役には11歳で演技未経験のノアム・オヴァディアが抜
擢されている。撮影はスーパー16mmフィルムで行われた。
まあユダヤ人によるユダヤ人のための映画という感じの作品
だが、ユダヤ人以外に対してナチスが行った行為を伝えると
いう目的も理解できる。そのための仕掛けも巧みに配されて
いる作品だ。
公開は9月8日より、東京地区はTOHOシネマズシャンテ他に
て全国ロードショウとなる。

07月16日(日)
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