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On the Production
by 井口健二
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■トランスフォーマー/ビースト覚醒、まなみ100%、Jean Paul Gaultier: Freak and Chic(原題)、ウェルカム・トゥ・ダリ、復讐の記憶
に封筒をホテルで暮らす画家の許に届けるよう命じられる。
そしてホテルのスウィートルームに向かった若者は、“ダリ
ランド”に足を踏み入れることになる。
当時のダリはヨーロッパでは遅れてきたシュールレアリスム
などと評価は芳しくなかったが、アメリカでは持て囃され、
ニューヨークでは盛大な個展の準備が進められていた。そし
てニューヨークでの滞在の経費は個展を開く約束の画廊によ
って賄われていた。
しかしダリは、毎日をパーティ三昧で一向に作品を描こうと
はせず、画家の妻でありマネージャーでもあるガラは若手の
俳優に熱を上げて、正しく目くるめくような生活の真っ最中
だった。それでも何とか制作意欲を導き出し、作品の制作は
始められたが…。
監督は1996年『アンディ・ウォーホルを撃った女』や2013年
5月紹介『モスダイアリー』などのメアリー・ハロン。脚本
は監督の夫で、コロムビア大学フィルム・プログラムの助教
授でアルマーニやプラダのプロモーションフィルムの脚本も
手掛けるジョン・C・ウォルシュが担当した。
共演は2013年9月紹介『ハンナ・アーレント』でヨーロッパ
映画賞受賞のバルバラ・スコヴァと、本作が長編デビューの
クリストファー・ブライニー。他にアンドレア・ペジック、
ルパート・グレイヴス、スキ・ウォーターハウスらが脇を固
めている。
そして若き日のダリを、6月紹介『ザ・フラッシュ』などの
エズラ・ミラーが演じている。
ウォーホルとダリ。それぞれコマーシャリズムに載せられ、
互いに交流があったともされる2人の天才アーチストには共
通点も多い。そんな2人を同じ監督が描いて見せたという点
にも興味を惹かれる。そして本作ではより人間的というか、
苦しみを抱えた姿で描いたところは、時代の反映かな。
ただダリに関しては、1966年『ミクロの決死圏』のプロモー
ションなどハリウッドとの関りもいろいろあったはずだが、
その辺が台詞だけでほぼ外されたのは、SF映画ファンとし
ては少し残念な心地ではあった。
公開は9月1日より、東京地区はヒューマントラストシネマ
有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて、全国
ロードショウとなる。

『復讐の記憶』“리멤버”
2015年のカナダ・ドイツ合作映画『手紙は憶えている』を基
に、舞台を韓国に置き換えて描いた壮大な復讐劇。
登場するのは80歳を超える高齢なのに手際よくトラブルにも
対処するファミレスの従業員。しかし寄る年波で遂に退職を
決意する。そんな老人の手には何時か会いたいと願う人たち
の名前が記されていた。
そして運転免許証も返納した老人は、ファミレスでの同僚で
仲の良かった20代の若者に声を掛け、一度乗って観たかった
という赤いポルシェをレンタルして、若者の運転でその最初
の人物の許を訪ねるが…。
正直に言って日本人にはちょっと耳が痛いかな。ただし復讐
の矛先はほぼ韓国側に向けられていて、戦争犯罪人でありな
がら巧みに戦後を生き延びてさらには財を成した連中を告発
する仕組みになっている。
とは言うものの慰安婦問題や端島の炭鉱夫など、すでに解決
済みの問題や事実誤認に基づくものも取り上げられるのは、
韓国が前政権時代に立てられた企画ということなのかな?
ちょっと時代錯誤は感じる部分もあった。
でもまあ本筋は韓国人に向けられたもので、そういった連中
がのうのうと勲章を貰ったり、英雄として祭り上げられてい
る現実というのは、日本人として共感を覚える部分もある作
品だった。
まあ偶然や幸運も重なるが、巧みに復讐を成就させる主人公
はムーヴィ・ヒーロー的に面白く描かれていたものだ。
出演は2019年5月紹介『工作 黒金星と呼ばれた男』などの
イ・ソンミンと、TV出身で韓国版『ジョゼと虎と魚たち』
などに主演し、2021年のフォーブス誌「アジアで影響力のあ
る30歳未満の30人」に選出されたナム・ジュヒョク。
他に2022年4月24日付題名紹介『モガディシュ 脱出までの

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07月09日(日)
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