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On the Production
by 井口健二
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■AI崩壊(再考)、プロジェクト・G、ムルゲ(影裏、恐竜が教えてくれたこと、フェアウェル、星屑の町、ステップ、黒い司法、プラド美術館)
『影裏』
(沼田真佑原作、第157回芥川賞受賞作の映画化。主人公は
東北の町に転勤してきた独身男。まだ土地に馴染んでいない
主人公は喫煙を注意した同年輩の地元民の男性と言葉を交わ
し、渓流釣りに誘われるなど交流を深める。ところがその男
性が理由なく退社。さらに男性が突然彼の家に来訪し、交流
が再開するが…。男性は再び姿を消し、男性の父親を訪ねた
主人公は思わぬ事態に直面する。出演は綾野剛、松田龍平。
他に筒井真理子、中村倫也、平埜生成、國村隼、永島暎子、
安田顕らが脇を固めている。監督は『るろうに剣心』などの
大友啓史。脚本は、2018年11月3日付「東京国際映画祭」で
紹介『愛がなんだ』などの澤井香織が担当した。渓流釣りの
シーンでその界隈にはいないはずの魚を取り逃がし、後でそ
の魚がもう一度登場する。その意味を考えていたら、実はそ
れが物語の全体を象徴していた。そんな作品だ。公開は2月
14日より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『恐竜が教えてくれたこと』
         “Mijn bijzonder rare week met Tess”
(2015年度の青少年読書感想文全国コンクール課題図書にも
指定された、アンナ・ウォルツ原作の児童文学「ぼくとテス
の秘密の七日間」の映画化。主人公は11歳の少年。彼は家族
と共にヴァカンスでオランダ北部の島にやってくる。そこで
ちょっと謎めいた少女と出会った主人公は死について考え始
める。その一方で少女は実の父親を捜しており、フェイスブ
ックで突き止めたその人物を島に招待していたが…。多感な
少年と少女の1週間の冒険が始まる。出演は2004年生まれの
ソンニ・ファンウッテレンと、2005年生まれのヨセフィーン
・アレンセン。共に映画出演は初めてのようだが、すでにテ
レビや舞台で活躍している若手俳優だ。監督は短編映画やテ
レビで主に子供向けの作品を発表しているステフェン・ワウ
テルロウト。脚本も子供向けの作品で多くの受賞を果たして
いるラウラ・ファン・ダイクが担当した。公開は3月上旬よ
り、東京はシネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)

『フェアウェル』“The Farewell/别告诉她”
(中国・北京生まれで6歳の時にアメリカに移住したという
女性監督のルル・ワンが自らの体験の基づいて描いたハート
ウォーミングコメディ。なお本作では主演のオークワフィナ
がゴールデン・グローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)で
最優秀主演女優賞を受賞している。物語はアメリカで美術館
の学芸員を目指すもままならない中国系の女性が、中国で暮
らす祖母の病の知らせに里帰りする。そこには彼女の両親や
日本から里帰りしてきた叔父一家などが集まっており、余命
数週間とされた祖母にそれを告げるか否かで対立する。アメ
リカ育ちの主人公は告げるべきと主張するが、中国では教え
ないものだと諭され…。まあよくあるお話ではあるが、結末
が秀逸だった。公開は4月10日より、東京はTOHOシネマズ日
比谷他で全国ロードショウ。因に監督は次回作として、アレ
クサンダー・ワインスタイン原作SF短編集“Children of
the New World”の映画化を計画しているそうだ。)

『星屑の町』
(前回の『ひとくず』に続いて、2019年10月27日付<JAPAN
CONTENT SHOWCASE 2019>で紹介した作品の日本公開が決ま
り再度試写が行われた。内容その他に関しては前回の記事を
観ていただきたいが、2度観しての評価は全く変わらずで、
何というか安定の人情ドラマというところかな。ただし再見
では柄本明の怪演ぶりを確認することができた。何せ前回は
プレス資料もなくて、エンドクレジットで初めて出演を知っ
たもので、鑑賞中は全く気付けなかった。とは言え物語は、
のんが主演した連続テレビ小説をなぞっているような感じも
あって、それでいいのかなあと言いう気分にもなるが、単純
に観客としてはすでに知っている物語を再見しているような
気分にもなって、それはそれで納得はしてしまったものだ。

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01月19日(日)
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