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On the Production
by 井口健二
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■ふたりのJTL、スピリットOTA、イントゥTS(ジュディ、新卒ポモ、グッドバイ、ロングDJ、嘘八百2、初恋、架空OL日記、テリーGのDQ、屋根裏)
事実のようで、本作はその辺の事実関係を巧みに組み合わせ
たフィクションということになるものだ。
正直に言って高度10000mを目指しているのに防寒具がなかっ
たり、凍結したロープを素手で掴むなどは、当時の科学常識
でもあり得ない話と思ったが、その辺は監督と脚本家の創造
に拠るのだろう。
でもまあもう少しは科学的に作って欲しかったという感じは
するが、ハラハラドキドキのアドヴェンチャーというところ
では巧みに作られたエンターテインメント作品と呼べるもの
になっていた。
また映画に登場する気球は実物大に再現されたもので、実際
にガスを入れて飛行も可能とのこと。その壮大な映像も楽し
める作品だ。
公開は2020年1月17日より、東京はヒューマントラストシネ
マ有楽町他で全国ロードショウとなる。
この週は他に
『ジュディ 虹の彼方に』“Judy”
(1969年に47歳で亡くなったハリウッド女優・歌手の生涯を
描いた舞台劇からの映画化。1939年『オズの魔法使い』の主
演で一躍人気者になった少女は、その容姿を維持するために
薬物の投与を含む過酷なダイエットを強いられ、それが精神
を蝕んでゆく。そんな初期の出来事が後年のロンドン公演で
のパフォーマンスにオーヴァーラップされて、時代に翻弄さ
れた女優の姿が描かれる。出演はレネー・ゼルウィガー。他
にルーファス・シーウェル、マイクル・ガンボンらが脇を固
めている。監督はロンドンの舞台でシェークスピア劇などを
手掛けるルパート・グールド。初期のミッキー・ルーニーと
の交流や、途中にちょこっとライザ・ミネリが登場するなど
ファンには嬉しい仕掛けもあるが、何と言っても見どころは
ゼルウィガーのパフォーマンス。ガーランドの歌唱を自身の
声で再現した舞台のシーンは見事だった。公開は2020年3月
6日より、全国ロードショウ。)
『新卒ポモドーロ』
(2019年9月紹介『その瞬間、僕は泣きたくなった』の一編
を担当した井上博貴脚本、監督で、「就活」をテーマにした
作品。井上監督は2019年『40万分の1』という作品で弱小大
学の学生が直面する「就活」の困難を描いたようだが、本作
では逆に地方の中小企業が新卒生を獲得する難しさを描く。
そこにはかなり現実的なノウハウも含む作品だ。主人公の務
め先は福岡で急成長のITヴェンチャー企業だが、幹部社員
が独立して同業会社を立ち上げ、顧客を奪われる。そこで新
卒を獲得して巻き返しを図ろうとするが、優秀な人材は躍進
中の会社に向いがちだ。そこで主人公らが行った秘策は…。
出演は2003‐04年のテレビドラマ『美少女戦士セーラームー
ン』でタキシード仮面役の渋江譲二と、2018年5月紹介『ク
ジラの島の忘れもの』などの大野いと。因に題名の片仮名は
イタリア語でトマトこと、物語にはトマト農家が関わるもの
だ。公開は2020年2月21日より、全国ロードショウ。)
『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』
(1948年に新聞連載されて絶筆となった太宰治の未完の小説
を2015年にケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本演出で上演。
翌年の第23回読売演劇大賞で最優秀作品賞、最優秀女優賞、
優秀演出家賞を受賞した舞台から、2009年7月紹介『サマー
ウォーズ』などの奥寺佐渡子が脚色、2010年3月紹介『孤高
のメス』などの成島出監督で映画化した作品。舞台で受賞し
た小池栄子の主演で、大泉洋、水川あさみ、橋本愛、緒川た
まき、木村多江、戸田恵子、濱田岳、松重豊らが共演する。
表向きは雑誌編集者だが裏稼業で荒稼ぎ、妾が10人いるとい
う男が女たちと別れようとし、その方策として美人を連れて
各女性の許に別れ話に向かう顛末が面白おかしく描かれる。
2019年7月14日題名紹介『人間失格』などに比べるとかなり
あっけらかんとした作品で、入水が狂言のやり損いという説
も納得できる感じがした。公開は2020年2月14日より、東京
は新宿ピカデリー他で全国ロードショウ。)
『ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ』
“地球最后的夜晩”
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12月08日(日)
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