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On the Production
by 井口健二
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■ドクター・S(時の行路、廓文章、盗まれたC、ロマンスD、プリズン・C、みぽりん、愛国者に、インディペンデント・L、スウィング・K、his)
が訪れる。出演は高橋一生と、タナダ作品には2度目の蒼井
優。他に浜野謙太、三浦透子、大倉孝二、ピエール瀧、渡辺
えり、きたろうらが脇を固めている。ラヴドールと言われる
と2009年6月紹介『空気人形』を思い出すが、最近の製品は
長足の進歩を遂げているようだ。そんな業界の裏話も織り込
んで、夫婦愛の素敵な物語が展開される。公開は2020年1月
24日より、東京は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『プリズン・サークル』
(官民協働の刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」。
そこで行われているTC(Therapeutic Community=回復共同
体)。それは受刑者同士の対話によって犯罪の原因を探り、
再犯を防止するという。その様子を日本で初めて刑務所内に
カメラを入れて記録したドキュメンタリー。坂上香監督は、
2004年発表の『ライファーズ 終身刑を超えて』というアメ
リカにおける同様の施策を記録したドキュメンタリーで受賞
を果たしており、その映画が切っ掛けで日本でも採用された
TCの取材を試みる。しかし取材許可までに6年、さらに撮
影に2年が費やされて本作は完成された。それは初犯であっ
たり、年齢が若いなど更生の確度の高い受刑者に行われてい
るようだが、全国4万人の受刑者の内の40人。その中の4人
を中心に描かれる。上映時間2時間16分、正に圧巻という作
品だ。公開は2020年1月25日より、東京は渋谷のシアター・
イメージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)

『みぽりん』
(神戸出身、在住の映像作家・松本大樹が、『カメ止め』に
感激して自主制作した初監督作品。人気投票でセンターに抜
擢された地下アイドルがソロデビュー。しかし彼女は音痴。
そこで伝説のヴォイストレーナーが紹介され、六甲山中の別
荘で合宿訓練が始まるが…。『カメ止め』に関しては以前に
書いた通りだが、それでもその作品には二重構造などでリピ
ートを誘う仕掛けがあった。それに比べると本作はストレー
ト過ぎて、その点の物足りなさは感じる。因に題名は中山美
穂ではなく、キング原作『ミザリー』に由来とのことだが、
その点の狂気性もこれでは不足に感じるかな、主人公が女子
では致し方ないが、何かひねりは欲しい。出演の垣尾麻美、
津田晴香、井上裕基、近藤知史、合田温子、mayuらはいずれ
も関西で活動するタレントで所属会社のユニット出演のよう
だ。公開は関西先行で好評とのこと。東京は12月21日より、
池袋シネマ・ロサにて3週間ロードショウ。)

『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』
(1972年に森田必勝の遺志を継ぐべく右翼団体一水会を設立
して初代代表を務めた鈴木邦男を追ったドキュメンタリー。
鈴木はまた安倍政権を支える日本会議の母体の一つとされる
全国学生自治体連絡協議会を1969年に立ち上げた人物でもあ
るが、現在の鈴木は安倍政権に反対し、自ら右翼活動家の名
を取り下げている。そんな鈴木の信念は幼い頃に両親が帰依
した生長の家に由来すると言い、そこでは愛国の先に自然を
愛することを学んだという。そのため鈴木は再軍備のための
安倍政権による憲法改正に反対し、脱原発を目指して左翼の
陣営とも対話を続けている。映画の中では2009年10月20日付
「東京国際映画祭」で紹介『ザ・コーヴ』の一般公開に反対
する右翼集団と対決する姿なども紹介され、その論調は鋭く
正しい。正しく今の日本の言論が陥っている危険に対峙して
いる人物と受け止めた。監督は中村真夕。公開は2020年2月
初旬より、東京はポレポレ東中野にてロードショウ。)

『インディペンデント・リビング』
(日常的に介助を必要とする障碍者が、家族の許や施設では
なく1人で暮らせるよう支援を行う自立生活センターの活動
を描いたドキュメンタリー。取材されているのは大阪にある
センター、そこでは障碍当事者が運営も手掛けている。寝た
切りや食事にも介助が必要な人たち、そんな彼らが自立生活
を求める。そこには介助に当たる人たちも存在はするが、そ
の介助者は給与で雇われた人たちだ。同旨の映画では2018年

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11月24日(日)
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