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On the Production
by 井口健二
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■オーヴァーロード、アナと世界の終わり(夜会工場VOL.2、今日も嫌がらせ弁当、バイオレンス・ボイジャ、こはく、さよなら/退屈なレオニー)
『レオン』などの塚本連平が担当した。題名の見た目はちょ
っときついけれど、内容は現代の親子関係を巧みに捉えた感
動的な物語になっている。八丈島で現地ロケされた映像も素
敵で、親子関係が希薄な時代にこれは良いと思える作品だ。
公開は6月28日より、ロードショウ。)

『バイオレンス・ボイジャー』
(2013年3月紹介『燃える仏像人間』に続き、京都出身の映
像クリエーター宇治茶が監督/脚本/キャラクターデザイン
/作画/撮影/編集の6役を務めた作品。主人公は山奥の村
で暮らす金髪の少年。彼が親友と2人で隣村に転校した友達
を訪ねようと村はずれにやってくると…。映像は切り絵を動
かす劇メーションという手法で、前作では一部実写の部分が
あったが本作では全編がその手法で撮影されている。そのデ
ザイン造形はかなり不気味で、正に宇治茶ワールドと呼べる
ものだ。そして声優には、2018年12月紹介『あした世界が終
わるとしても』などの悠木碧、2011年11月紹介『ドットハッ
ク/セカイの向こうに』などの藤田咲、2019年2月紹介『え
いがのおそ松さん』などの小野大輔に加え、「ココリコ」田
中、「サバンナ」高橋、さらに田口トモロヲらが起用され、
ナレーションを松本人志が担当している。公開は5月24日よ
り、東京はシネ・リーブル池袋他で全国ロードショウ。)

『こはく』
(2017年10月紹介『ゆらり』の横尾初喜監督が、故郷の長崎
県で撮った自伝的な要素もあるという作品。主人公は母子家
庭の2人兄弟で次男。父親が興したというガラス工場を切り
盛りして軌道に乗せているが、その父親は彼が幼い頃に出奔
したまま音信不通だった。そこに芸能界に身を置くという長
男が、父親を見掛けたという情報をもたらす。そして長崎市
の怪しげな界隈で父親の消息を探るが…。父親の所業と今の
自分の生活が重なり、家族の在り方が問われて行く。出演は
井浦新、大橋彰(アキラ100%)。他に遠藤久美子、嶋田久作、
鶴田真由、石倉三郎、鶴見辰吾、木内みどり、Xファーレン
長崎の応援番組に出ているという塩田みうらが脇を固めてい
る。主人公の回想シーンには仕掛けがあって、それが作品の
良いアクセントにもなっていた。公開は6月21日から長崎で
先行上映の後、7月6日より、東京は渋谷ユーロスペース、
シネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)

『さよなら、退屈なレオニー』
            “La disparition des lucioles”
(2018年の東京国際映画祭「ユース」部門に『蛍はいなくな
った』のタイトルで出品され、主演のカレル・トレンブレイ
に「東京ジェムストーン」賞が贈られた作品。カナダの田舎
町を舞台に、悶々とした日々を送る少女の姿が描かれる。最
近この手の作品がブームになっているようだが、初老の男性
にとってはなかなか理解し難い作品だ。それでもここに例え
ば『アメリ』のような捻りでもあってくれれば、それなりの
評価もできるのだが、そこも突き放されてしまう感じかな。
でもこれが若い観客には共感されるのだろうし、その感性を
失ってしまった自分を卑下するしかないのだろう。とは言え
映画祭時の題名が原題に近いものだが、そこに掲げられた蛍
はどこに行ってしまったのか? ただのパンチラインだけで
はないものがあっても良いのではないかな。まあそれもない
のが現代っ子なのかもしれないが…。公開は6月15日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。

04月07日(日)
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