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On the Production
by 井口健二
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■ndjc:若手映画作家育成、シー・ラヴズ・ミー(波乗りオフィス、福島は語る、マックイーン、ドント・ウォーリー、新宿タイガー、COLD WAR)
台の他、2015年の映画『ピクセル』にも出ていたジェーン・
クラコウスキー。2009年11月紹介『ジュリー&ジュリア』な
どのバイロン・ジェニングス。そして自ら劇団も主宰する若
手のギャヴィン・クリールらが脇を固めている。
監督はデヴィッド・ホーン。そして舞台のセット・デザイン
をデヴィッド・ロックウェルが担当して、2017年のトニー賞
ではミュージカル部門リバイバル作品賞と装置デザイン賞を
受賞している。
電子メールの無い時代の話が、今の若い人たちにどう受け止
められるかは判らないが、その時代を生きてきた人間には、
正に胸キュンという感じの物語になっている。でも多分これ
は時代を超えて現代にも通用するものだろう。
それに加えて本作では、トニー賞も受賞した舞台のセット装
置が素晴らしくて、特に巻頭の路上から一気に店内に移る場
面転換には正に度肝を抜かれた。さらにそこから後ろの部屋
や別の情景にも転換する。これは本当に見事だった。
その妙技を見るだけでも価値のある作品だ。
なお、本作は巻頭にも「HD」と銘打たれていて恐らく毎秒
30フレームで撮影されていると思われるが、実は僕が観た試
写会では画面にちらつきがあった。これはフレーム数の誤差
と思われ、もしかするとプロジェクターの設定が映画用の毎
秒26フレームのままだった可能性がある。
ちらつき自体はさほど目立ちはしないが、僕には気になった
もので、できれば是正して欲しいところだ。
公開は4月19日より、東京は築地東劇にて3週間限定ロード
ショウ。その後は5月24日より大阪なんばパークスシネマ、
名古屋ミッドランドスクエア シネマでも限定ロードショウ
となる。

この週は他に
『波乗りオフィスへようこそ』
(四国の右下と自称する徳島県、その中でも右下に位置する
美波町を舞台に、IT企業が地方に開発部門を設置し軌道に
乗るまでを描いた実話に基づく作品。主人公が社長を務める
小さなIT企業では大手に押されて人材不足が深刻だった。
そんな折に帰郷した社長は、ふと自然の中で働くことを思い
付く。それは思わぬ人材を集めることになるが…。登場する
会社名も実名なので、まあその通りなのだろうけど、お話は
少し綺麗事かな。多少のトラブルはあるけれど、それも定番
でドラマとしては物足りない感じが残った。実話だから仕方
ないのだろうが。出演は、映画初主演の関口知宏。その脇を
宇崎竜童、柏原収史、宮川一朗太、岩崎加根子らが固めてい
る。脚本と監督は美波町の出身で、2018年3月11日題名紹介
『終わった人』のプロデューサーを務めた明石知幸。公開は
4月5日からイオンシネマ徳島で先行上映の後、東京は19日
より有楽町スバル座他で全国順次ロードショウ。)

『福島は語る』
(2009年「パレスチナ」4部作や2015年「ガザ」5部作など
を発表してきた土井敏邦監督が、原発事故によって生活基盤
を奪われた人たちの姿を5年の歳月を掛けて描いた14の証言
からなる2時間50分のドキュメンタリー。今や事故から8年
が経ち、各地の原発再稼働も推進され、福島の教訓は何だっ
たのかと思ってしまう状況の中、未だに放射能が充満してる
実家には帰ることもできない人たち。その一方で残留放射能
自体が風評被害という言葉の許に封じられ、それでもその作
物は消費者に拒絶される。また避難した子供たちも避難先の
学校では差別が続く。そんな生々しい現実が描かれる。現実
は都心の放射能だって以前よりは増えたままなのに、五輪の
名の下にその事実さえ隠されている。証言だけのドキュメン
タリーの難しさは2018年12月23日の題名紹介で指摘したが、
本作にはそれを超えた重みがある。公開は3月2日から新宿
K's cinemaで先行上映の後、9日より全国ロードショウ。)

『マックイーン モードの反逆児』“McQueen”
(1992年に彗星のごとく登場し、一世風靡したファッション
デザイナーを描いたドキュメンタリー。ロンドン下町で6人
兄弟の末っ子が、サヴィル・ローのテーラーに雇われ、イタ

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02月10日(日)
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