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On the Production
by 井口健二
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■オンリー・ザ・B、50回目のファーストK(モリーズ・G、焼肉D、海を駆ける、ホース・S、超級大国民、最初で最後のK、オンネリ、ガンダム)
(2004年9月紹介『血と骨』などの脚本でも知られる劇作家
鄭義信が2008年に日韓両国で発表した演劇作品を、自らの初
監督で映画化した作品。1970年の大阪万博を背景に、再開発
によって失われて行く大阪の韓国人コミュニティーを描く。
登場するのは伊丹空港近くのバラック街でホルモン屋を営む
一家。父親は戦前の徴用で来日し、そのまま在日となった。
それは棄民であったとするのが監督のスタンスのようだ。そ
れでも懸命に生きる人々の姿が描かれる。出演は2010年10月
紹介『黒く濁る村』などのキム・サンホと、2009年8月紹介
『母なる証明』などのイ・ジョンウンが両親を演じ、3人の
娘たちに真木よう子、井上真央、桜庭ななみが扮する。50年
近くも前の在日の話は僕らには判り難いが、知識を総動員し
てでも観る必要のある作品だ。公開は6月22日より、東京は
TOHOシネマズ日比谷他で全国ロードショー。)

『海を駆ける』
(2010年11月2日付「東京国際映画祭」で紹介『歓待』や、
2015年10月紹介『さようなら』などの深田晃司監督が、自身
のオリジナル脚本の主演にディーン・フジオカを招きオール
現地ロケで描いたファンタシー要素の強い作品。舞台はイン
ドネシア、スマトラ島北部のバンダ・アチェ。2004年に発生
した震災と大津波で破壊された土地で、復興事業に従事する
母親とその息子。そこに海岸で倒れていた日本人と思しき男
が現れたことから、息子の女友達なども巻き込んだファンタ
スティックな出来事が巻き起こる。共演は鶴田真由、太賀、
2017年11月19日題名紹介『孤狼の血』などの阿部純子。男は
いろいろミラクルな行動をし、そこに周囲の人が巻き込まれ
て行く展開だが、結局男の正体は何? それでも話は成立し
ているから問題はないのだが…。公開は5月26日より、東京
はテアトル新宿、有楽町スバル座他で全国ロードショウ。)

『ホース・ソルジャー』“12 Strong”
(9・11の同時多発テロ事件、その1ヶ月後にアフガニスタ
ンに赴き、テロ集団の本拠地に対して最初の勝利を挙げたと
される12人の特殊部隊の活動を描いた作品。しかし戦略上の
観点から機密とされた作戦がついに情報解禁となり、ヒット
メイカー、ジェリー・ブラッカイマー製作で映画化された。
主人公は実戦経験のない大尉。しかし「全員がゼロからスタ
ート」と主張した彼の部隊が第1陣に選ばれる。ところが現
地の反タリバン勢力は3つの軍閥に分れて競い合っており、
彼にはその外交交渉も任されることになる。そんな中で雪に
閉ざされるまで3週間の猶予しかない任務が開始される。出
演はクリス・ヘムズワース。他にマイクル・シャノン、マイ
クル・ペーニャらが脇を固めている。監督は報道カメラマン
として受賞歴を持つニコライ・フルシーのデビュー作。公開
は5月4日より、全国ロードショウ。)

『スーパーシチズン 超級大国民』“超級大國民”
(1983年『坊やの人形』の一篇で台湾ニューシネマの牽引者
の一人とされたワン・レン監督による1995年の作品。同年の
東京国際映画祭・コンペティション部門で上映されたが、そ
の後の日本では一般公開のなかった作品が、特集上映「台湾
巨匠傑作選2018」で劇場初公開される。1950年代、戒厳令と
白色テロ時代の台湾で、読書会に参加しただけで逮捕された
若者が取り調べ中に仲間の名前を告げたことで減刑される。
しかし名前を告げられた仲間は死刑となり、自らの刑期を終
えた主人公は人目を避け続けるが…。30余年を経て彼は贖罪
の旅を始める。それは高度成長期の台湾を見詰め直す旅とも
なる。回想シーンは日本支配から脱却した直後で、主人公ら
の台詞にも日本語や日本文化の残滓が頻出する。その辺が発
表当時は懸念されたのかな。公開は4月28日から、東京は新
宿K's cinemaで、特集の全28作品と共に上映される。)

『最初で最後のキス』“Un bacio”
(2014年『はじまりは5つ星ホテルから』などの脚本家イバ
ン・コトロネーオが、アメリカで起きた実際の事件に触発さ

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03月25日(日)
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