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On the Production
by 井口健二
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■ナミヤ雑貨店の奇跡、ザ・マミー 呪われた砂漠の王女、少女ファニーと運命の旅
公開は8月11日より、東京は日比谷のTOHOシネマズ・シャ
ンテほかで、全国ロードショウとなる。
この週は他に
『蠱毒(こどく) ミートボールマシン』
(2006年7月紹介作品に続くシリーズ第3作? 監督は前
作の山口雄大に代って、前作の特殊造形を務めた西村喜廣
が担当している。山口監督の前作では、着ぐるみ同士のス
プラッターに疑問を感じたが、本作もその路線は継承、た
だし血飛沫の量はさらに増加して、殺陣にもいろいろ工夫
はされていたようだ。そしてタイトル通りの古来の呪術み
たいなものが背景に置かれてはいるのだが、その部分が判
りはするけどもう少し丁寧に欲しかったかな。そこにオド
ロオドロしさがあるとまた違った面白さになったとも思え
た。出演は田中要次、初主演作だそうだ。共演に百合沙。
他に仁科貴、斎藤工らが脇を固めている。公開は8月19日
より、東京は新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウ。)
『パターソン』“Paterson”
(ジム・ジャームッシュ監督による前作から4年ぶりとい
う最新長編作品。アメリカ東部の小都市を舞台に町と同じ
苗字のバス運転手の7日間が描かれる。それは事件らしい
出来事も起こらない淡々としたものだが、詩人でもある主
人公には常に新鮮な風景が展開する。出演は2015年『SW
フォースの覚醒』などのアダム・ドライヴァ。共演に『P
OTC最後の海賊』などのゴルシフテ・ファラハニ。他に
永瀬正敏。また本作でカンヌ映画祭でパルムドッグ賞受賞
のアメリカン・ブルドッグが名演技を見せるが、惜しくも
撮影後に他界したそうだ。公開は8月26日より、東京は新
宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他で、全国
順次ロードショウ。)
『彼女がその名を知らない鳥たち』
(イヤミスの旗手の1人とされる沼田まほかるの原作を、
2016年『日本で一番悪い奴ら』などの白石和彌監督が蒼井
優、阿部サダヲを主演に招いて映画化した作品。蒼井が演
じるのは典型的な悪女。阿部が扮するのは彼女を愛し続け
るダサい男。しかし女の気持ちは以前に別れた男性を思い
続けている。という典型的に嫌な話だが、そこからミステ
リーが始まり、男性観客の自分としては案外阿倍が扮した
男に共感する物語になっていた。共演に松坂桃李、竹野内
豊。展開も面白く、謎解きも納得できる巧みな作品。中盤
で阿部のマッサージを受けながら蒼井が呟く台詞が凄い。
公開は10月28日より、東京は新宿バルト9、有楽町スバル
座他にて全国ロードショウ。)
『アンダー・ハー・マウス』“Below Her Mouth”
(ユニセックスで評判のモデルを主演に据えて女性同士の
性愛を描いた作品。主人公は父親の跡を継いで屋根大工と
して働く女性。そんな彼女がとある現場で目下の家の女性
に目を止める。そして編集者として成功する彼女とバーで
再会した2人は情熱的な関係を持つようになるが…。男性
観客の自分としては、内容的に2013年のカンヌ国際映画祭
パルムドール受賞作『アデル、ブルーは熱い色』を思い出
してしまうが、女性はどうなのかな。本作は監督のエイプ
リル・マレン、脚本のステファニー・ファブリッツィら、
主要スタッフほとんどが女性という布陣で撮られており、
その独自性が出ているかどうか? 公開は10月7日より、
東京はシネマート新宿他で全国順次ロードショウ。)
『ひいくんのあるく町』
(2011年に設置された4年制大学・日本映画大学で第3回
卒業制作として作られた47分のドキュメンタリー。青柳拓
監督の故郷である山梨県南部の市川大門町。その町で多く
の住民から愛されている知恵遅れのひいくん。その男性を
中心に、徐々に変化して行く故郷の街が描かれる。その町
は和紙の生産と花火大会で有名だったが…。「ひいくんが
いなくなったら寂しいなあ」という監督の思いが、失われ
て行く町の風物と重なってある種の共感を呼ぶ。でも何と
なく上手く纏まり過ぎて、何かもう一歩踏み込んで欲しか
ったかな。でもそれをやったら、今この作品が持つ良さは
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07月09日(日)
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