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On the Production
by 井口健二
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■フィッシュマンの涙、エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街
撮影したというロサンゼルスが舞台のストリートムーヴィ。
物語は出所したばかりの娼婦を中心に、彼女がいない間に浮
気をしていたらしい恋人を巡って、トランスジェンダーの娼
婦などが絡むもの。なおiPhoneでの撮影は素人俳優に負担を
掛けないための配慮だそうで、特別なアナモフィックレンズ
も使用されているそうだ。公開は1月下旬より、渋谷シアタ
ー・イメージフォーラム他にて全国順次ロードショウ。)
『ママ、ごはんまだ?』
(歌手の一青窈の姉で女優の一青妙が彼女らの母親を綴った
作品の映画化。台湾の実業家に見初められて海を渡り、台湾
料理をマスターしたという母親の姿とその料理の数々が紹介
される。中華ちまきや大根もちなど見るからに美味しそうな
料理ばかりで、空腹時に観ているのは結構辛かった。それと
同時に日本との関係の深かった台湾人の戦後の社会問題など
に触れられているのも良かった。公開は2月11日より、角川
シネマ新宿他にて、全国ロードショウ。)
『抗い』
(戦前の日本に徴用され、筑豊の炭田地帯で強制労働に従事
した朝鮮人の実態を追い続けている記録作家・林えいだいを
追ったドキュメンタリー。作家が追うのは戦前の富国強兵か
ら戦後の高度成長までを陰で支えた人々の真実。そこには僕
らが知りえなかったとんでもない事実が隠されていた。これ
には僕自身が居住まいを正す思いがしたものだ。ただ後半の
「さくら弾機」の問題に関しては取材に疑義があり、それを
どうしたものかちょっと悩んでいる。公開は1月下旬より、
渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショウ。)
『一週間フレンズ。』
(記憶障害を扱った葉月抹茶原作コミックスの映画化。アル
ツハイマーの絡みなどで最近よく目にする題材だが、安易に
扱うには重すぎるし、若年向けの作品でどう描けるか、観る
まではかなり不安だった。しかし作品は展開に捻りもあって
予想以上に良い出来と言える。しかも因果関係などもそれな
りに納得できるし、結末もこれなら了解できるものだ。いや
日本映画でここまでできるとは、正直、期待以上の作品だ。
公開は2月18日より、全国ロードショウ。)
『L−エル−』
(ロックアーティストのAcid Black Cherryが2015年に発表
したコンセプトアルバムの映画化。因にこの種の映画化は日
本初だそうだ。物語は色のない街で生れた少女が数奇な運命
に翻弄されて行く姿を描く。主演は2016年3月紹介『探偵ミ
タライの事件簿』などの広瀬アリス。監督は2014年5月紹介
『キカイダー REBOOT』などの下山天。シーンのほとんどが
合成という作品だが、物語にもう少しメリハリが欲しかった
かな。公開は11月25日より、全国ロードショウ。)
『パリ、恋人たちの影』“L'ombre des femmes”
(2012年5月紹介『愛の残像』『灼熱の肌』などのフィリッ
プ・ガレル監督による2015年の作品。ドキュメンタリー映画
の製作のため元レジスタンスに取材する映画監督と彼を支え
る妻。しかし監督はふと知り合った若い女性に惹かれ、その
気配を感じた妻も不倫に走ってしまう。モノクロで上映時間
は73分。実に簡潔に纏められた作品で、しかも本質をしっか
り突いているのは見事だ。公開は1月21日より、渋谷シアタ
ー・イメージフォーラム他にて、全国順次ロードショウ。)
『愛を歌う花』“해어화”
(1940年代、レコード文化の普及が生み出す韓国大衆芸能。
その中で妓生でありながら有能な作曲家によって人気歌手に
なろうとしていた女性が、日本軍の弾圧によってその運命を
翻弄される。ステレオタイプの日本軍人の姿は置くとして、
当時の京城府の様子などが見事に再現された作品。出演は、
2012年12月紹介『王になった男』などのハン・ヒョンジュ、
2013年4月紹介『私のオオカミ少年』などのユ・ソンヨク。
監督は2005年4月紹介『初恋のアルバム』などのパク・フン
シク。公開は1月7日より、シネマート新宿、シネマート心
斎橋ほかでロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
11月13日(日)
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