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On the Production
by 井口健二
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■フランス映画祭2014
映画の中でTGVを堪能できる作品。もちろんアクション映
画としても一級の作品だし、微妙な人間関係など、様々な面
で優れたエンターテインメントと呼べるものだ。
一般公開は8月。東京は新宿武蔵野館ほか、全国順次ロード
ショウとなる。

『暗くなるまでこの恋を』“La Sir醇Qne du Mississipi”
フランソワ・トリュフォー監督、ジャン=ポール・ベルモン
ド、カトリーヌ・ドヌーヴ共演の1968年作品が、ディジタル
リマスターにより映画祭で上映される。
インド洋に浮かぶフランス領レユニヨン島。その島でタバコ
工場を営む主人公は、写真交換だけで知り合った女性を花嫁
として迎える。しかし現れたのは写真とは異なる風貌の女性
だった。
ところがその女性は、恥ずかしいから友人の写真を送ったと
告白し、それを信じた主人公は彼女と挙式するが…。それは
転落への第1歩だった。
原作はアメリカの推理作家コーネル・ウールリッチがウィリ
アム・アイリッシュ名義で発表した『暗闇へのワルツ』。悪
の道と判りながらも転落して行く男女の哀しい物語が綴られ
て行く。
フランス・ヌーヴェル・ヴァーグの旗手の1人とも称された
トリュフォーは1966年にはイギリスで『華氏451』を完成
させ、その2年後の本作ではベルモンド、ドヌーヴという当
時の2大スターを起用。正に絶頂期の作品と言える。
その本作では、トリュフォーが憧れるアメリカの監督アルフ
レッド・ヒッチコックを真似たかのようなロマンティック・
ミステリーを展開させ、これもトリュフォーの思い通りとい
う作品だろう。
撮影も南海の島から雪のアルプスまで縦横に行われており、
その豪華さにも目を見張る作品だった。
一般公開は10月11日より。「没後30年 フランソワ・トリュ
フォー映画祭」の一環として、東京は角川シネマ有楽町にて
3週間限定ロードショウとなる。

『スザンヌ』“Suzanne”
昨年の東京国際映画祭で紹介され、今年4月に一般公開され
た『アデル、ブルーは熱い色』のアブデラティフ・ケシシュ
監督による最新作。
上記の作品は一般公開時の試写で観させてもらったが、間違
いなしの話題作で、他でも取り上げられる機会は多いと思わ
れ、ここで宣伝しなくても良いだろうと判断した。その監督
の新作は前作にも増した問題作だ。
主人公は父子家庭に育った少女。強い絆で結ばれた妹と不器
用だが愛情一杯の父親と暮らしていたが、思春期になりふと
付き合った不良少年の子供を身ごもってしまう。そして転落
の人生が始まってしまうが…
自分自身が娘の成長を見守ってきた父親として、本作の父親
の心情は手に取るようだった。正直に言って娘にとって自分
の存在が如何様なものであったかは判らないが、一所懸命に
頑張る父親の姿は僕の胸を揺さぶるものだった。
ただし監督は女性で、その視点はあくまで娘の側にあるが、
それでもここに描かれる父親の姿は、僕にとっては全く他人
事ではないと考えさせられた。勿論本作の観客のターゲット
は女性が想定されており、その点での判断はできない。
しかし僕自身が子育てを終えた父親の立場で観て、本作は納
得し、感銘を受ける作品だった。
なお本作は映画祭の最終日(30日)に上映されるが、日本で
の一般公開は予定されていない。

『俳優探偵ジャン』“Je fais le mort”
2004年にキャラクターの生誕100周年記念として製作された
『ルパン』(Ars醇Qne Lupin)などのジャン=ポール・サロメ
監督によるノアール・コメディ。
主人公は若くして新人賞は受賞したものの、その後は思うよ
うな仕事に恵まれないまま中年になってしまった俳優。そん
な男がハローワークで紹介されたのは、俳優向きではあるが
ちょっと変わった仕事だった。
それは殺人事件の現場検証で死体を演じるというもの。報酬
もそれなり、しかも現場はリゾート地ということで、主人公
は気軽に現地に向かうのだが…、被害者の気持ちも理解して
演じると主張する主人公は予審判事と衝突を繰り返す。

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06月15日(日)
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