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On the Production
by 井口健二
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■シャドウハンター、サード・パーソン、ディス/コネクト、飢餓海峡、A.F.O
『オブリビオン』などのアンドレア・ライズブロー、2012年
4月紹介『バトルシップ』などのアレクサンダー・スカルス
ガルド。
さらに2011年4月紹介『クロエ』などのマックス・シエリオ
ット、2009年8月紹介『PUSH−光と闇の能力者』などの
コリン・フォード、2008年5月紹介『イントゥ・ザ・ワイル
ド』などのヘイリー・ラム。そして2005年11月紹介『ザスー
ラ』などのジョナ・ボボ。因にミュージシャでもあるボボは
劇中の楽曲も手掛けている。
脚本は、本作が長編映画デビュー作のアンドリュー・スター
ン、監督も、2006年の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー
部門にノミネートされた“Murderball”などのヘンリー=ア
レックス・ルビンが劇映画デビュー作として手掛けている。
2作続けてアンサンブルドラマの紹介となったが、上が大ベ
テランの作品に対して、こちらは正に新進気鋭。扱っている
題材も現代の最前線という感じなのも面白かった。どちらも
現代を鋭く描いており、見応え充分の2作品だ。
本作の公開は5月24日からに予定されている。
『飢餓海峡』
水上勉が1962−63年に発表した原作を、1965年に内田吐夢監
督で映画化した作品。その作品が4月5日から開催の第二回
「新・午前十時の映画祭」での上映に向けてディジタル修復
された。
物語の背景となるのは、昭和29年の台風15号(洞爺丸台風)。
この台風により津軽海峡では青函連絡船5隻が沈没し、北海
道岩内町では3000戸焼失の大火災が起きている。その2つの
事件を巧みに組み合わせて本作は創作される。
その1は岩内町で起きた火災が強盗放火だったというもの。
その犯人たちは本土に逃走するべく函館に向かう。ところが
辿り着いた函館は連絡船の救難で大混乱の最中。そこで犯人
たちは消防団員に紛れて漁船を調達する。
そして台風一過、函館では遭難者の身元確認が行われるが、
そこに乗船名簿に名前のない2つの遺体が残される。こうし
て函館署刑事による執念の捜査が始まるが、そこには10年も
の歳月を経て、様々な人間模様が絡まって行く。
出演は、三國連太郎、伴淳三郎、左幸子、高倉健。伴淳、高
倉は記憶とさほど変わらなかったが、三國が最初の登場では
オヤと思うほどの好男子だったり、左が思いの外に可愛いな
ど、年月の流れも色々と感じさせてくれる。
また脚本は、1961年版『宮本武蔵』や後にNHK大河『三姉
妹』(1967年)、フジテレビ『白い巨塔』(1974年)などを手掛
ける鈴木尚之。音楽を冨田勲が担当していた。
特撮ファン的には、映画前半に描かれる連絡船のミニチュア
シーンが注目だったが、そのシーンより後に出てくる3隻の
搜索船が波とのバランスもよく、さらに船上の篝火など見事
に描かれていた。
また、脳内の映像を描くレリーフのように処理された映像な
どは確か当時開発されたばかりの技術で、それらも効果的に
使われていた。ただ映画の後半になるとそれらが消えてしま
うのはちょっと残念ではあった。
それに今回のディジタル修復版では、巻頭シーンの画質が粗
くされているが、確かこのシーンは当時のニュースフィルム
と合わせるためにわざとされたものだったはず。しかしその
ニュアンスがこれでは少し違うように感じられた。
とは言え、歴史的な名作がこのように修復されて、再び映画
館のスクリーンで見られることは、映画ファンにはこの上な
い喜びと思えるものだ。
なお、新たに日本映画を加えた「新・午前十時の映画祭」で
は『羅生門』『ニッポン無責任時代』『砂の器』『細雪』、
2010年2月紹介『幸福の黄色いハンカチ』、2011年12月紹介
『幕末太陽伝』が上映される。
他にも『ブラック・レイン』『あなただけ今晩は』『チャイ
ナタウン』『黄昏』『オズの魔法使い』『旅情』『恐怖の報
酬』『さらば、わが愛/覇王別姫』『ゴースト/ニューヨーク
の幻』『俺たちに明日はない』『地上より永遠に』などが、
新たにラインナップされている。
『A.F.O』
2009年に創立50周年記念として映画『築城せよ!』を製作し
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03月23日(日)
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