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On the Production
by 井口健二
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■エヴァの告白、ラッシュ/プライドと友情、偉大なるしゅららぼん、デリーに行こう!、BUDDHA2
気になった。特にクライマックスでのVFXシーンにはもう
少しメリハリが欲しい感じかな。何となく脚本をきっちりと
撮ってはいるが、全体にリズムがない感じなのだ。
それと物語では、鍵となる人物のお話がちゃんと終っていな
い感じなのも気になった。これは最近の小説によくある傾向
で、多分この原作もそうなのだろうが、作家は自分の創造物
にもう少し愛情を持ってもらいたいと思う。
歴史的な背景などは理解しているが、それに繋がる本作との
関係をもう少し描き込んで、この人物のお話をちゃんと終ら
せて欲しかったものだ。
公開は3月8日から、全国一斉ロードショウとなる。

『デリーに行こう!』“चलो दिल्ली”
2010年11月紹介のハリウッドコメディ『デュー・デート』を
インドを舞台に翻案したボリウッドコメディ。
オリジナルは、妻の出産予定日を控えて出張先から自宅に戻
る夫が、陸路のアメリカ横断で悪戦苦闘する姿を描いたもの
だったが、本作の主人公は辣腕の女性社長。彼女がアメリカ
出張を控えてムンバイから首都デリーを目指す。
しかもその陸路はアメリカ横断とは比較にならないワイルド
な風景に満ち溢れており、その中ではインド社会の現実も描
かれる。これは確かに翻案ではあるけれど、かなり独自性の
強い作品だ。
とは言え、飛行機で乗り合わせたトラブルメーカーの男と、
止むにやまれぬインド縦断の旅というコンセプトは同じで、
その中で徐々に主人公の気持ちが変化し、豊かになって行く
というテーマも同じものになっている。
そして旅の結末は、これはもう信じられないものが用意され
ていて、そこに至る伏線も含めてこれには正しく脱帽という
感じだった。正直に言って、この展開の物語でこのような結
末が用意されているとは思いもよらなかったものだ。
主演は、2000年のミス・ワールドで2013年3月紹介『闇の帝
王DON・ベルリン強奪作戦』にも出演、本作では製作も兼ね
るラーラ・ダッタ。共演はニューヨーク州立大学で演技を学
んだというヴィナイ・パタック。
監督はパタックが2008年に主演製作した作品を手掛けたシャ
シャーント・シャー。実はパタックが監督と再び組んで企画
したものの実現に至らず、ダッタに出演を打診したら脚本を
気に入った女優が自ら製作も買って出たとのことだ。
そして映画の製作は、ダッタが彼女の夫で1997年全仏オープ
ン混合ダブルスで日本の平木理化と共に優勝した元プロテニ
ス選手のマヘシュ・プパシと設立した会社(ビッグ・ダディ
・プロダクション)で行われている。
題名の「デリーに行こう(Challo Dilli)」は、歴史的には
インド独立運動のスローガンの一つなのだそうだ。映画はそ
のような歴史を背景にしたものではないが、インド人にはそ
れなりの感慨を持って受け取られたのかもしれない。
でも日本人にはそんなことは関係なく、インドの様々な風物
の登場する旅情気分のロードムーヴィとして気軽に楽しめる
作品になっている。そんな気分を、インド人でありながら社
会の部外者の主人公が一緒に味あわせてくれる作品だ。
なお、映画の前半の空港シーンでパタックが買う芸能誌の表
紙になっているのは、今年最初に紹介した『エージェント・
ヴィノッド最強のスパイ』の主演の2人。インドでは同じ配
給会社の作品で、その情報を知っているとニヤリとできた。
公開は2月15日から、東京はオーディトリウム渋谷にてロー
ドショウされる。

『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ−終わりなき旅−』
2011年5月に公開された『手塚治虫のブッダ−赤い砂漠よ!
美しく−』の続編。
実は前作も試写は観ていたが、このホームページにはアップ
しなかった。その時の記録を読み返してみると、主には物語
がブッダ本人の話でないことが気に入らなかったものだ。そ
れに一部声優の棒読みの台詞に苛々させられたとあった。
という作品の続編だが、まずプロローグでブッダの誕生から
本作に至るまでの概略が語られる。しかしそこに前作で物語

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01月12日(日)
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