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On the Production
by 井口健二
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■なんちゃって家族、ウォルト・ディズニーの約束、大捜査の女/ジ・エレクション、ゲームセンターCX、ホビット2、ゲノムハザード
2本目は、2006年9月紹介『エレクション“黒社會”』と同
じく香港・黒社会のトップの座を巡る抗争を描くお話。
主人公は家計を助けるために黒社会に入った青年。それから
20年が経ち彼は組織の会長の右腕となっていた。ところがそ
の会長が引退することになり、会長は主人公を後釜に推薦す
る。しかし本人には全くその気がない。
一方、黒社会の名家と言われる一家の息子が20年の刑期を終
えて出所してくる。その一家の母親は息子に会長選挙出馬を
願うが、その息子は刑務所での勉学を踏まえて大学進学を希
望していた。
これに会長職の象徴である「竜頭棍」の行方なども絡んで、
過去の作品へのオマージュやパロディもある物語が展開され
る。このユーモアのバランスも巧みで心地よく楽しめる作品
になっていた。
出演は、1990年代香港ノアールの大ヒット作『欲望の街』以
来の再共演となる今年11月紹介『楊家将』などのイーキン・
チェンと、2005年6月紹介『頭文字D』などのジョーダン・
チャン。
他に、2010年12月紹介『カンフーサイボーグ』などのアレッ
クス・フォン、今年日本公開された『李小龍マイブラザー』
などのキャンディス・ユー、さらにミシェル・イエらが脇を
固めている。
公開は1月11日から、東京はシネマート六本木での独占ロー
ドショウとなる。なお2本同時公開だが、2本立てではない
ようだ。

『ゲームセンターCX THE MOVIE』
2003年からフジテレビCS放送でオンエアされているゲーム
ヴァラエティ番組の10周年記念映画版。
番組は、1980年代のファミコンゲームをお笑い芸人
の有野晋哉が番組収録の12時間でクリアするというもの。そ
の中で番組中では2度の挑戦に失敗し、最後は2006年に東京
の一ツ橋ホールで公開収録が行われたという超難易度ゲーム
「マイティボンジャック」攻略が映画の中心となる。
従って作品は、裏テクなども駆使したゲーム攻略のドキュメ
ンタリーという感じのものだが、それだけでは成立しないと
考えたのか、映画ではその1986年当時を再現した少年ドラマ
が添えられている。そのドラマでは当時の人気漫画や社会風
俗なども再現され、それに少し仕掛けも設けられている。
出演は、ドキュメンタリーの部分では有野の他に番組のAD
らが助っ人として登場する。それは当然2006年に収録のもの
なので、当時の番組を見ていた人には懐かしい顔にもなって
いるものだ。
そして少年ドラマ部分では、2011年3月紹介『エクレール・
お菓子放浪記』などの吉井一肇、2012年『貞子3D』などの
平祐奈。他にゲームメーカーのナムコやセガなどの関係者の
特別出演もあったようだ。
脚本はテレビ版も手掛けていた酒井健作。監督は2011年9月
紹介『RAILWAYS〜愛を伝えられない大人たちへ』な
どの蔵方政俊が担当している。
という本作だが、メインのゲーム攻略の部分は、昔はゲーム
愛好者でもあった自分には面白く、また懐かしくも感じられ
た。ただしこの部分は、当時の放送体制の関係なのか4:3
の標準画質で画像は芳しくなかった。
そのこともあってのドラマ部分の挿入とも思われるが、実は
これが少し物足りない。物語は「マイティボンジャック」の
カセットを巡る子供間のトラブルなどだが、これが当たり前
すぎる感じなのだ。
それは当時は確かに社会問題化したものでもあって、それを
描くことの意味は判るが、正直には今さらそれを蒸し返され
てもとも思ってしまう。それよりもっとゲームに密着した物
語を描けなかったかと思うところだ。
特に後半の仕掛けは、このため有野も7kgのダイエットをす
るなど頑張ったようだが、ここにもう少し膨らみがあっても
良かったのではないか。あるいはゲームとの絡みをもっと強
く描いて欲しかった。
具体的には、有野がプレイしているゲームとドラマとのシン
クロで、それは多分ドラマ後半での子供同士の遭遇やワープ
ゾーンの状況などがそのつもりなのだろうが、もっとリアル
にその興奮を伝えて欲しかった。

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12月22日(日)
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