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On the Production
by 井口健二
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■アイ・ウェイウェイは謝らない、ファントム開戦前夜、ケンとメリー・雨上がりの星空に、フィルス、僕たちの高原ホテル
因に他の3作品は、
『TAP 完全なる飼育』(監督:片嶋一貴)
『I AM ICHIHASHI』(監督:ディーン・フジオカ)
『風俗行ったら人生変わったwww』(監督:飯塚健)
となっている。

『フィルス』“Filth”
1996年公開の映画『トレインスポッティング』の原作者でも
あるアーヴィン・ウェルシュが1998年に発表した長編小説の
映画化。
主人公はスコットランドのエジンバラ警察に勤務する刑事。
物語の始まりは、その街で深夜に日本人留学生がフーリガン
のグループに襲われて死亡するところから始まる。その事件
を担当することになった主人公は、外交問題も絡む事件の解
決を出世への足掛かりにしようと考える。
そう彼には強い出世願望があり、それは彼の妻も同じ思いの
ものだ。そのため彼はドラッグや女など、同僚を陥れる汚い
手も使って着々とその道を歩んでいた。ところが彼が担当し
た事件は思いの外に捜査が難航してしまう。そしてその間に
別の刑事が金髪女性の目撃者がいたことを突き止める。
一方、主人公の前には淡い恋心を抱かせるシングルマザーも
登場する。しかし出世を焦る主人公は徐々に危険な道に脚を
踏み込んでしまう。さらに主人公のトラウマが生み出したと
思われる様々な幻想が出現して彼の精神を切り崩し始める。
脚本と監督はスコットランド出身のジョン・S・ベアード。
1990年代に映画制作のためにロンドンに渡った監督が、作者
自身が最も映画化したかったという原作を、原作者も納得の
映画に仕上げている。
主演は、昨年7月紹介『声をかくす人』などのジェームズ・
マカヴォイ。グラスゴー出身で本作の舞台とよく似た環境で
育ったというマカヴォイは、監督以上の高い熱意で主人公を
演じている。
共演は、2012年4月紹介『崖っぷちの男』などのジェイミー
・ベル、2011年10月紹介『フライトナイト−恐怖の夜−』な
どのイモージェン・プーツ。さらにイギリスのテレビで活躍
するジョアンヌ・フロガット。またベテランのジム・ブロー
ドベント、エディ・マーサンらが脇を固めている。
実はこの試写会の後で宣伝担当の人から、「『時計じかけの
オレンジ』がお好きですよね」と声を掛けられた。しかし迂
闊にも僕は映画を見ている間はそれに気付かず、話し掛けら
れて初めてその符合に思い至った。確かにそう考えると、数
多くのオマージュとも言えるシーンが点在する。
特に発端の暴行シーンは、正しく1971年の映画そのままに演
出されているものだ。また監督はマカヴォイにも、マルカム
・マクダウェルのようなイメージを要求したとのことで、こ
れはその通りの作品のようだ。そんな物語が幻想シーンも織
り込みながら展開される。

『僕たちの高原ホテル』
2011年6月紹介『あの、晴れた青空』などの「タクミくんシ
リーズ」に主演した浜尾京介、渡辺大輔のコンビと、脚本:
金杉弘子、監督:横井健司が仕掛ける青春映画。
浜尾が演じる主人公は、高原に建つホテルの清掃員。そのホ
テルはかつて主人公の祖父が勤めていた場所で、主人公も祖
父と同じホテルマンを目指していたが、祖父が突然亡くなっ
た日からその目的は失われていた。
そしてそのホテルもまた、祖父が築き上げた「おもてなし」
の精神も希薄になり、当時からの顧客はいるものの今では普
通のホテルと変わりなかった。そんな高原のホテルに、突然
渡辺が演じるマネージャーが現れる。
しかもそのマネージャーは、従業員たちに様々な要求を突き
つけてくるが…。
共演は、舞台ミュージカル『テニスの王子様』に出演の和田
琢磨。他に瑙撫r吾、本田剛文らの若手はいずれも舞台中心
の俳優たちのようだ。そしてその脇を、昨年9月紹介『自縄
自縛の私』に出演の馬渕英俚可、ベテランの小倉一郎、諏訪
太朗、河原崎建三らが固めている。
また舞台となるホテルは八ヶ岳高原ヒュッテ。この建物は元
侯爵徳川義親氏の邸宅を移築したもので、ここでは1976年に
田宮二郎が主演したテレビドラマ『高原へいらっしゃい』の
撮影されたそうだ。

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09月22日(日)
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